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八方だしの希望小売価格は1リットルで888円。ミツカンの商品の中では高価ラインに入る。

 ミツカンが2018年2月に発売した本格料理だし「八方だし」の販売が堅調だ。リピート率が7割で高いといわれる調味料市場で、八方だしは驚異の9割。一度、つかんだ顧客を離さない裏には、あるこだわりがあった。

 八方だしはしょうゆやカツオだしなどを組み合わせただしで、煮物や炊き込みご飯などの料理を作る際の味のベースに使う。八方だしの希望小売価格は1リットルで税別888円。ミツカンの麺つゆの主力商品である「追いがつおつゆ2倍」の1リットルの商品の希望小売価格が同440円であることと比較すると高級ラインであることがわかる。 

 「道を極めたピンの味」をうたう新ブランド「PIN印」の第1弾商品でもある「八方だし」。ここ数年、家庭での調理離れが進む中で、付加価値の高い調味料分野は需要が底堅いことに目を付け、商品化に取り組んだ。

 「高級品」であるが故に開発手法も大きく変えた。従来は、カテゴリー内での競合品の売れ行きや、ミツカンの既存商品を購買していない顧客の好みを分析していたが、八方だしでは、消費者の生活スタイルに着目。毎日の食事づくりにかける時間や、家族にどんな食事をしてもらいたいと考えているかといったニーズから、消費者を8種に分類。その中から、料理への意識が高く、時間も手間もかけることを惜しまない人を八方だしのターゲットに据えることにした。

 味についても、従来は一般の消費者に新商品を試してもらい、一定の点数以上を獲得した商品を商品化する手法だったが、今回は料亭などで働く一流の料理人の意見を積極的に取り入れることにした。料理人の表現は独特な言い回しのことも多いため、料亭で修業した経験を持つ社員が所属する「味確認室」と連携。料理人が求める味を忠実に再現することを目指した。

 そうして完成したのが、野菜や肉など食材のおいしさが引き立つ調味料だ。ミツカン商品企画部商品企画2課の村重祐介課長は「どこまで素材をおいしいと感じてもらえるか。そこにこだわった」と振り返る。そのミツカンのこだわりが、料理にこだわりを持つ消費者の心をつかんだ。スーパーにおける商品導入率は、当初6割ぐらいと予想していたが、8割を超えた。

 今年2月にはPIN印ブランドで「贅沢濃厚ごまだれ」を発売したミツカン。村重氏は「PIN印のブランド横断で商品を展開するのは、メーカーでは珍しい取り組みだ。あせらず、大切にブランドを育てたい」と意気込んでいる。