日本で初めてIHクッキングヒーターを発売した三菱電機。主力商品として売り出し中の「レンジグリルIH」では10年以上かけてレンジ機能を一体化させた。こうした商品の普及によって、日本のキッチンから電子レンジがなくなる日が来るかもしれない。

 冷凍庫から取り出した魚をレンジで解凍することなく、すぐグリルで焼くことができたら――。仕事で帰宅が遅くなったとき、そう思ったことのある人もいるだろう。

 そんな声に応えた製品を2020年11月、三菱電機が発売した。レンジ機能を兼ね備えた世界初のIHクッキングヒーター「レンジグリルIH」だ。網式でないフラットタイプのグリル部分を、レンジとしても使える。冷凍の肉や魚を焼くなら、グリルの「焼く」という作業と、レンジの「加熱」の作業を同時にでき、調理時間を短縮できる。

 冷凍の魚を焼く場合、レンジで解凍してからグリルで焼くのが一般的。レンジグリルIHなら、冷凍したままの魚をいきなりグリルで焼くことができる。もちろん、冷めた料理を温めるなどレンジ機能を単独でも使える。

 効率的に料理をするうえで理想的とされるのが、冷蔵庫とシンク、グリルコンロの配置場所が三角形をなす「キッチントライアングル」だ。それぞれの位置が離れていたり、いびつな三角形になっていたりするほど、料理をする人の動線に無駄が生まれ、調理の所要時間も長くなる傾向にある。レンジも、このトライアングルの動線上にあれば効率的だ。レンジグリルIHはレンジの機能も兼ねるので、料理をしやすくなる。

ヒーターからグリルへとリレー調理がしやすい
ヒーターからグリルへとリレー調理がしやすい

 IHヒーターにフライパンを置いてハンバーグの表面を焼いた後、中まで加熱するためレンジを使うケースでも、レンジグリルIHならヒーターからその下のグリルにフライパンを移動させれば済む。レンジが離れた場所にあるときは移動が手間になる。

 11月の発売以降、売れ行きは月1千台程度とまずまず。販売台数は増加傾向にある。希望小売価格はコンロが2口のタイプが32万円、3口のタイプが35万円(いずれも税抜き)。ビルトイン型が9割以上を占めるIHクッキングヒーターを購入するのはたいてい新築やリフォーム時で13~15年に1回程度と頻度は高くない。そのわりに健闘しているといえるかもしれない。

 三菱電機によると調理機器で最も使用頻度が高いのがレンジ。購入客からは「レンジの“渋滞”を解決できた」「調理時間がより短くなった」といった反応が届いている。

続きを読む 2/2 各社が狙っていた機能

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