食パンがちぎれてしまう

 ちょうどそのころ、杉山金属は新ブランドの立ち上げを旧知のデザイン会社と模索していた。これまで70年にわたって調理器具などの金属加工を手掛けており、フライパンやケトル、食パン2枚を使うホットサンドメーカーなどを製造してきた。だが、今後のさらなる成長のためには「何か新しい風が必要。これまでとは違った目線、コンセプトで世界を広げていきたい」(小川部長)との考えがあった。

 そうして17年に立ち上げたのが燕三条キッチン研究所。その第1号商品として開発することになったのが、小川家の朝食から着想した「食パン1枚で作れるホットサンドメーカー」だった。

 食パンを折り畳むように焼く仕組みにすることは決まったが、開発は簡単ではなかった。1枚の食パンを折り畳むと、折り目部分に想定以上の負荷がかかってしまい、食パンがちぎれてしまうのだ。中身が漏れてしまうようではホットサンドメーカーとしての魅力は落ちる。

 食パンがちぎれないようにするにはどうしたらいいか。開発チームは何度も試作を繰り返した。食パンを置く場所の深さや形状を0.1mm単位で調整していき、具を載せて折り畳んでも食パンがちぎれにくい構造をようやく見いだした。

 折り重なったパンの耳が圧着しやすく、食感も良くなるように閉じ口を波形にするといった工夫も盛り込んだ。製品化のメドが立ったのは、開発に着手してから1年ほどが経過したころだった。

折り畳んでもパンがちぎれにくい構造を見つけだした
折り畳んでもパンがちぎれにくい構造を見つけだした

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