売るのはモノではなく、ストーリー

 沖縄市の人口は約14万人。那覇市に次ぐ沖縄第2の都市だが、近年飛躍的に伸びていた観光客の取り込みでは後手に回っている。台湾や韓国などから多く来ていた訪日外国人が目的とするのは、那覇でのショッピングや西海岸でのビーチ滞在。有名なビーチがない沖縄市に人が集まるのは、旧盆明けに行われる8月の沖縄全島エイサーまつりのときくらいだった。

 「普通に戦えば、勝てる要素はない」。花城氏はそう語るが、ネガティブ感は一切ない。「本当は海が欲しいが、ないのなら、あるもので勝負する」。沖縄全島エイサーまつり、ロックが流れるライブハウス、「ディープ」という肩書が付く夜の街……。これらに共通しているものは「人の面白さ、熱気」と花城氏は見る。

 21年3月には、県内56の工房を集めた工芸フェアを域内の16店舗で分散開催した。コロナ対策で「密」をつくらないためではあるが、「地域全体がアートギャラリーとなることを目指した」(花城氏)。いわば町の「お祭り化」で、さまざまな制約がある中でも工夫によってプラス面を呼び込む道を模索している。

 空気の缶詰も、そんな文脈で説明できる。売ったのは「モノ」ではなく、「ヒト」であり「体験」。そして、それらが奏でる「ストーリー」だ。「海や景観で人を呼べないなら、思い出で呼ぶ」(花城氏)というわけだ。面白さ、熱気のありそうな沖縄市に行ってみたい、と思ってもらうことが視野にある。

封入作業は室内の空気が入らないようにベランダで行った
封入作業は室内の空気が入らないようにベランダで行った

 ネットで購入した缶詰を作る機械はもちろん今後も活用する。20年の「ゲート通り編」に続く21年の新バージョンはまだ企画段階だというが、その案にパンチが効いているので紹介しておこう。

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