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 生活用品大手で、近年は家電事業に注力するアイリスオーヤマ。2018年12月期の家電事業の売上高は前期比23%増の810億円で、同社単体での売上高(1550億円)の半分強を占める。そんな好調な家電事業をけん引するのが、実勢価格が1万円ちょっとの布団乾燥機「カラリエ」。15年2月の発売以来、累計販売台数は100万台を超え、1万台も売れれば御の字という中では異例のヒット商品だ。家電後発のアイリスオーヤマがヒットを打ち出せたワケは何だったのか。

15年2月に発売した初代カラリエ。温風を吹き込むホースは1本だ。

 カラリエの開発責任者であるアイリスオーヤマ家電開発部大阪R&Dセンターの河阪雅之マネージャーは、「あらゆる面で手軽さを追求し、その合わせ技が効いたでのは」と分析する。例えば設置はたった10秒で終わる。これまでは大きな風船のようなものに温風を吹き込んで膨らませる「マット式」と呼ぶ方式が主流だったが、カラリエはマットがなく、伸ばしたホースを掛け布団と敷布団で挟み込むだけでいい。ホースも筐体から出すのではなくむき出しになっているので、しまうのも簡単だ。

 手軽に持ち運べることにもこだわった。重量は1.8kgほどだが、設計に工夫を加えて軽量化を図った。そのうえで、ハンドルを大きくして手で持ち上げやすくした。「持ちやすいと軽く感じるため」(河阪氏)という。

 手軽さが受けて、販売以来、倍々に販売台数を増やしたカラリエだが、18年はそれを上回る勢いで伸びている。その原動力になったのが、18年6月から販売を始めた新製品だ。特徴は温風を出すホースを2本にしたこと。2組のふとんを1度で乾燥させたり、暖めたりできる。ホースを足元と胸元の部分において、ふとんの隅々まで暖めるといった使い方もできる。

18年6月に発売した新製品はホースが2本に

 この2本のホースがついた「ツインノズル」タイプを開発するきっかけは、アイリスオーヤマの大山健太郎会長が漏らした一言だったという。17年末に、カラリエのヘビーユーザーである大山会長が河阪氏に、「カラリエ使ってもな、足元が寒いねん」と背が高いゆえに日ごろ感じていたちょっとした不満を口にしたのだ。

 2本のホースを使うアイデアはすぐ思いついたが、この2本から温風を出すには、従来のモーターでは出力が足りなくなってしまう。別の高出力モーターを使えばいいが、それでは重量やコストが増す。これでは、カラリエの持ち味である、手軽さが失われかねない。

カラリエの開発責任者である河阪雅之氏

 そこで河阪氏は、従来のモーターの出力を少し引き上げて重量増とコスト増を最小限に抑えると共に、温風が流れる内部構造やファンの形状を見直すことで、課題を解決した。発売前の18年5月に新製品を大山会長に見せたところ、「ええやん、これ」と太鼓判を押したという。

 大山会長というヘビーユーザーの声をくみ取って生まれたツインノズルタイプのカラリエ。販売は当初計画の3倍を上回るペースで売れている。