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  明治が2016年12月に発売したラクトアイス「エッセルスーパーカップ Sweet’s」の売れ行きが好調だ。希望小売価格は220円と高めだが、「ハーゲンダッツ」が一強だった高価格帯アイス市場に、新たに大容量というカテゴリーを作り出したことが消費者の支持を集める理由だ。

 「エッセルスーパーカップ Sweet’s」は明治が1994年に発売した「エッセルスーパーカップ」の“派生品”だ。スーパーカップは200mlという大容量ながら希望小売価格が130円(現在は140円)という値ごろ感が受けて、明治の定番商品に育った。

 派生品を投入したのは「少子化社会ニッポン」が抱える構造問題に直面したからだ。

 スーパーカップの主な購買層は中高生から大学生。若いうちは、大容量のアイス商品を手に取っていた消費者も、年齢を重ねるほど、食べきれないと敬遠しがちだった。明治の加工食品商品開発部フローズンデザート開発Gの種村祥吾氏は「スーパーカップブランドで消費者をどう囲い込むかが課題だった」と振り返る。

 目を付けたのがこれまでよりも年齢層の高い20代以上の消費者だ。購買力のある世代にターゲットを定め、「ハーゲンダッツ」が独壇場の高価格アイス市場に打って出ることにしたのだ。

 ハーゲンダッツの主力のバニラアイスは内容量110mlで、希望小売価格は272円。そのほかの競合も内容量は100ml前後と小ぶりで、価格は140~300円程度。そこで明治がにらんだのが「少し値の張るアイスをたっぷり食べたいニーズ」(種村氏)。当時、チルドスイーツをアイス化した商品が増えていることから、スイーツ感覚を楽しめるアイスなら需要があるとみた。

 そうして2016年12月に出したのが「エッセルスーパーカップ Sweet’s」。内容量は172mlと競合よりも多くして、希望小売価格は220円と少し高めに設定した。カスタード風味のアイスの上に、クッキー、ホイップクリーム風アイス、イチゴの果肉入りソースという具合に4層構造にすることで、食感の飽きさせない工夫も凝らした。

 発売するタイミングも絶妙だった。実は小売店にとって、12月はクリスマスや正月に向けて、消費者の財布のひもがゆるむ稼ぎ時。そうした「ハレの日」消費が期待できるタイミングで、ハーゲンダッツ以外に新たに売る商材が増えることを小売店は歓迎していた。

 待ちに待った発売日。フローズンデザート営業部マーケティング2グループの松野友彦氏らはとんでもない数字を見る。Sweet’sの売り上げが、スーパーカップの一番の売れ筋であるバニラ味の売り上げを超えたのだ。慌てて工場に追加生産を発注したが、間に合わず、発売からわずか数週間でSweet’sは休売となった。

 ちょっとした贅沢をたっぷり楽しむ。そんなニーズをぴたりと当てたスーパーカップSweet’s。17年10月の再販後も好調な売れ行きで、20代以上の新たな顧客層の支持を獲得し、明治の収益源の新たな柱になりつつある。