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 血糖値をいつでも手軽に測定できる糖尿病患者向けの機器が、注目を集めている。いつもより血糖値が高ければ、血糖値を下げる薬を増やすといった使い方を想定する。また、糖尿病の早期発見にもつながると考えられており、健康意識の高い人たちの間でも話題を呼んでいる。

 そのデバイスとは、米シカゴに本社を置くアボット・ラボラトリーズ社が開発した「FreeStyleリブレ」。2014年にヨーロッパで発売したところ、生産が追い付かないほどの人気を博した。現在は世界46カ国で販売され、130万人以上のユーザーを抱える。日本でも17年から販売を始めた。

血糖値測定デバイスのFreeStyleリブレ。センサー(写真左)を上腕の後ろ側に装着し、測定器(写真右)をかざすと過去8時間の血糖値の推移が分かる。

 本体価格は7089円(税別)で、2週間使い切りのセンサーは2個セットで1万3800円(同)。現在は高度管理医療機器等販売業の許可を得た薬局であれば誰でも購入可能だ。血糖値を常時測定する医療機器はこれまでも存在したが、数十万円と高額なうえ、医師の管理下でしか使用できなかった。

 実際の使い方はこうだ。まずは腕の後ろに500円玉くらいの大きさのセンサーを貼り付ける。センサーの内側には直径0.4mmの細い針があり、装着すると皮膚の細胞の間にある「間質液」のグルコース濃度が常時測定される。血糖値が上昇すると間質液中のグルコース濃度も連動して上昇することを利用し、血糖値を推定する仕組みだ。スマートフォン大の測定器をセンサーにかざすと、「ピピッ」という音とともに液晶画面に過去8時間の血糖値の推移が折れ線グラフで確認できる。

血糖値のデータのやり取りに、交通系ICカードなどで使われるフェリカ機能を用いて低価格化を実現した。

 本来リブレは「糖尿病患者が薬の量を調節する参考」のために使用される。だが、今、糖尿病予備群の間でも早期発見に役立つとの期待が高まりつつある。

 国内の糖尿病予備群は約1000万人とされる。ほとんどの糖尿病は数年かけてゆっくりと進行するため、予備群の段階で生活習慣を改めることが望ましい。ただ、初期段階での発見が難しいのが糖尿病。健康診断で空腹時に測定しても、初期段階の人の血糖値は正常な人と変わらないからだ。

 リブレを使用する50代の女性は「カレーライスなどの炭水化物の多い食事を食べたあとは、血糖値が特に高くなることを身を持って知ることができた」と話す。この女性は糖尿病の「予備群」で、健康意識を高めるためにリブレを使用しているという。

 日本でリブレの臨床試験を主導した東京慈恵会医科大学の西村理明氏は「予備群の人たちが簡単に使用できれば、糖尿病の進行を予防できる」と期待する。

 血糖値測定器を巡っては、米グーグルや米アップルも商機を見出そうと開発を進めた経緯がある。医療機器大手のテルモも米デクスコムと組み、リブレとほぼ同様の仕組みで、血糖値を測定する新製品を2月28日に出した。今後もこうした参入企業が増えていけば、より多くの人が健康意識を高めるきっかけになりそうだ。