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 これまで金融業界で一部のプロのみが駆使してきたアルゴリズム取引。高度な金融工学を活用し、膨大な市場データをコンピューターで分析。高いリターンを生み出してきた。このアルゴリズム取引を、経験の少ない個人投資家でも簡単に利用出来るサービスがにわかに注目を集め始めている。

AI活用型 TOPIX運用(絶対収益追求,レバレッジ型) \10000(税込)

MACD & ストキャス トレンド追従型 \5000(税込)

 株価予測アルゴリズム販売サイト「QuantX(クオンテックス)」では1000~5万円程度の「商品」が累計1300種類これまで販売されてきた。ここで売られるアルゴリズムとは、金融のプロが使う「投資の秘密レシピ」のこと。あらかじめ決められた相場変動の条件に基づき、コンピューターが自動的に売買を判断する手法を指す。これまでヘッジファンドなどで金融工学を極めた一部のプロのみが使っていたこのレシピを、一般個人でも買えるようにした日本唯一のサービスだ。

「QuantX」では、一般個人が開発したアルゴリズムが累計1300種が類販売されてきた

600人が自分のアルゴリズムを「投稿」

 画面上に陳列されたアルゴリズムをクリックすると、どのような銘柄を対象に売買するか、何%の利益が出たら利益を確定するために株を売却するか、何%の損失までは保有し続けるか、といった運用のルールや、アルゴリズムを忠実に守って投資した場合のこれまでの損益率などがグラフを交えて説明されている。

 購入者には、アルゴリズムから判断された個別株の売買推奨シグナルが1日1回メールやLINEで通知され、指示に従い売買を行う。今後は、アルゴリズムに沿って自動的に株の売買ができるサービスも展開する予定だ。

 アルゴリズムを作成しているのは一般の個人。30歳代前後のITプログラマーを中心に600人が作成に携わっている。アルゴリズムが販売された場合、代金の7割が作成者に渡る仕組みとなっている。

 サイトを手がけるのはフィンテックベンチャーのスマートトレード(東京・千代田)。内田友幸社長は、東大大学院在籍時に50万人を集客するi-modeのコミュニティサイトを作り上げ、事業売却後はデジタルガレージの最高技術責任者(CTO)などを勤めた人物だ。

 ITの専門家だが、金融に関してはほぼ門外漢だった内田社長。外側から金融業界を見ていて「ずるいなあ」と思ったのが起業のきっかけという。金融業界は株式売買や市場分析などで最もデジタル化が進む分野。ヘッジファンドや証券会社はIT専門家を次々と雇い、技術を高度化させ飛躍的な進化を遂げた。米ゴールドマン・サックスは今や4人に1人がエンジニアで構成され、AIを駆使したヘッジファンドの米ツーシグマは世界の株式が弱含んだ2018年でさえ主力ファンドが10%前後の高リターンを達成している。

 一方、「手厚いサービスを受けられる一部の富裕層を除き、一般の人は金融IT化の恩恵を受けられていない」。両者の間に生じるサービスのギャップを埋めることに、内田社長は社会的意義とビジネスチャンスを見つけ出した。