17万人いる富裕層
仏コンサルティング会社のキャップジェミニによると、100万ドル以上の投資可能な資産を持つアフリカの富裕層は2017年に約16万8000人。米フォーブス誌の世界長者番付2018年版で、ナイジェリア人で総資産141億ドル(当時)のアリコ・ダンゴテ氏が100位に入った。人口比で言えばもちろん欧米には遠く及ばないものの、着実に増える富裕層を狙ったビジネスが成立する環境がある。
そして国内の富裕層は先進国に比べて低い医療水準に不満を抱えている。「ナイジェリアの富裕層はこれまで、飛行機で英国や米国に行って検診を受けていた」(ドゥヴィリエ氏)。CFAOはこのギャップに目を付けた。ユーラケアの診療は、公的保険は効かないため高額だ。だが、「飛行機で海外に行くよりも経済的にも体力的にも楽」(ドゥビリエ氏)なのは間違いない。開業から約2年で診察した患者数は延べ4324人に上った。外資企業の駐在員などの需要もあり、法人契約も好調という。

17年にはガーナの首都アクラにもクリニックを新設した。VIP専用の入り口を設け、一般の患者に見つからないように診療を受けられるように配慮し、既に4500人以上の新規患者を診療した。
アフリカビジネスパートナーズの梅本優香里・代表パートナーは「かつてはBOPビジネスでアフリカに参入する企業が多かったが、BOPビジネスには通常のビジネス以上のノウハウが必要だ」と指摘する。低所得者層の生活水準を高めながら、ビジネスも大きくしていくというストーリーは確かに聞こえがいい。だが、低価格帯の商品でグローバル企業と競える日本企業はそう多くない。むしろ、日本企業の技術力やブランド力が生かせる富裕層に向けた事業を仕掛けることが必要かもしれない。
Powered by リゾーム?