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 日経ビジネス3月4日号の特集「日本を超える革新力 逆説のアフリカ」では、日本企業が低所得者層を対象にサービスや商品を提供するBOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスで参入すると、アフリカ市場の開拓は難しい、との考え方を紹介した。その逆を行くビジネスを展開しているのが、豊田通商だ。富裕層向け病院を西アフリカ2カ国に開設した。

 西アフリカ最大の都市、ナイジェリアのラゴス。混とんとした街並みの中に突然、清潔感のある低層の建物が現れる。豊田通商の子会社の仏商社、CFAOが新規事業として2016年に開設した7床の病院「ユーラケア」だ。最新の診断装置を備え、富裕層を対象に診断や治療を行っている。

ガーナの「ユーラケア」。右側の入口はVIP専用

 「ナイジェリア人の医師を10人、米国や英国から呼び寄せた」。ユーラケアのグレン・ドゥヴィリエ・マネージングディレクターは胸を張る。ユーラケアの売りは、これまでナイジェリアでは受けられなかったような高度な医療だ。それに欠かせないナイジェリア人医師を、海外から確保したというわけだ。

 人口2億人弱のナイジェリアには、米国や英国への留学経験のある優秀な医師が少なくない。だがナイジェリアに戻らず留学先の国で働く場合が多いという。ユーラケアは「世界標準の設備をそろえ、せっかく磨いた技術を活用できる場を整える」(ドゥヴィリエ氏)ことで、ロンドンで働いていた心臓病専門医師を常勤としてスカウトすることに成功した。

 それに加え、普段米国や英国で働いているナイジェリア人医師計10人がそれぞれ月1回、帰国し診察するようにした。専門外で、ラゴスで診断できない時は彼らが働く病院などに検査結果を送り、同僚医師の助言を受けられる仕組みを整え、海外で診察を受けるのとあまり変わらない環境を提供する。

医療ツーリズム市場は年10億ドルあるという