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(写真:ロイター/アフロ)
「日経ビジネス」3月4日号の特集「日本を超える革新力 逆説のアフリカ」でも取り上げたケニアのモンバサには、首都ナイロビとの間を結ぶ鉄道が走っている。中国が建設に携わったこの鉄道にケニアを訪れた記者が乗ってみた。

 2月中旬の平日、朝7時。インド洋に面した東アフリカ最大の港湾都市、ケニアのモンバサにあるケニア鉄道のターミナル駅に着くと、厳重な荷物チェックが行われていた。

 ケニアの首都ナイロビでは、その4週間ほど前にテロが起きたばかり。そのせいで厳しく検査しているのかと思ったが、普段も荷物の検査をしているらしい。この鉄道は中国が建設に携わった。中国では高速鉄道の駅に入る際に荷物検査があり、ケニア鉄道もそれを踏襲しているようだ。

 「ニーハオ」。荷物検査の係員が中国語で挨拶してきた。

まだ真新しいモンバサ駅

 アフリカ各国を訪れる際に、取材のテーマの1つとしていたのが、各国での中国の存在感だった。モンバサからケニアの鉄道に乗るのもそのためだ。「アフリカでの中国の存在感はいかばかりか」。こんな問題意識を持って列車に乗り込むつもりだったが、駅舎に入る前に答えが出た気がした。

 事前にインターネットで予約してもらっていた一等車の切符代は3000ケニアシリング(約3000円)。設置してある機械に名前と予約番号を入れると、カードサイズの切符が発行された。「アフリカはまだ発展していないアナログな大陸」。こんなイメージは早くも覆された。QRコードが印刷されたその切符は「中国の高速鉄道の切符にそっくり。フォントまで同じ」(日本人ビジネスマン)。

パスポート番号を登録してIDで確認(画像を一部加工しています)

 この「マダラカエキスプレス」は2017年5月末に開通した。モンバサ―ケニア間の約472kmを約4時間40分で結ぶ。工事期間は3年半、事業費は約38億ドル。そのうち9割を中国輸出入銀行が融資し、中国交通建設集団(CCCC)が建設を請け負った。

 まだピカピカの駅舎の一等車専用の待ち合いフロアを見渡すと、缶や魚の骨の絵が描かれたゴミ箱があった。イラストとともに書かれていた文字は「可回収物 RECYCLABLE」。中国語だ。無料のチャイを飲みながら発車時刻を待ち、改札を通ると、その横には白いシャツを着た中国人らしき職員が2人立っていた。

 改札前にある銅像が目に入った。モデルは14~15世紀の中国・明の武将、鄭和。モンバサに4回来たことがあり、「中国とケニアの相互理解を促進した」と解説があった。乗る前に十分、「この鉄道は中国によって作られた」ことを意識させられた。

中国語と英語が併記されたゴミ箱