中堅・中小企業の中国進出も支援する「よろず相談所」
クンチによる支援例の一つとして前田氏が挙げたのが、龍角散の中国進出である。同社はクンチの支援の下、中国への越境ECを積極的に推し進めた結果、越境ECにおいて保健食品部門で最上位のブランドになった。
龍角散の成功のポイントとして、前田氏は、中国市場に向け迅速で柔軟な営業体制、顧客育成、プラットフォーム催事への積極的な参画の3つを挙げる。
「まず龍角散は、営業本部の中国人スタッフが社内で全幅の信頼を受け、毎日SNSなどで情報発信し迅速な対応をしています。日本的なプロセスに時間をかけていては、中国のスピードについていけません。弊社でも、ブランドが迅速な判断ができるよう側面的に情報収集を常に行いサポートしています」
さらに龍角散は、会員特典を充実させることで既存顧客をロイヤルカスタマーに育成した。「一般的に、中国市場では新規顧客の獲得に目を向けがちですが、ブランド認知度を高めるためには、ブランド信奉者の層を厚くすることも大切です。会員特典などの仕掛け作りは、クンチグループが全面的にバックアップしました」(前田氏)
そして、何といっても中国の消費者の心をつかんだのは、プラットフォームによる大規模なライブ販売に、同社代表取締役社長の藤井隆太氏が登場したことだ。「社長自らが消費者に語りかけるというのは、最近では最も受けるパフォーマンスです。藤井社長は臆することなく参画いただき、得意のフルートまで演奏していただき、視聴者から大絶賛されました」と前田氏は語る。
これはあくまでも一例であり、クンチは、他にも様々な支援を行っている。
「EC市場に限らず、中国進出に関する相談事なら、どんな悩みでもうかがっていますので何なりとご相談ください。実際、中堅企業からのご相談も多く、中国ビジネスに強いみずほ銀行やJETRO(日本貿易振興機構)などから企業様をご紹介いただくこともあるなど、幅広いお顧客層のニーズにもお応えしております」(前田氏)
中国進出の「よろず相談所」でありたい、というのが前田氏の考え方だ。
「日本クンチは、日中双方の強みを生かし、あらゆる日系企業を支援し、業務を通して<日中の懸け橋>となるべく活動しています。リスクを恐れて進出をためらうのではなく、どうすれば成長著しい中国市場でチャンスをつかめるのかをブランドに寄り添って考えます。ぜひご相談ください」(前田氏)

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