商機を逃さない。クンチの強力な中国進出サポート体制

 前田氏は「中国のEC市場で成果を上げるには、まずブランドへの認知をしっかり高めることが大切」だと語る。

 「中国の消費者は商品またはブランドの指名買いです。見たことも聞いたこともないブランドでは、消費者には届きません。日本における自社ブランドの価値をどう表現したら中国の消費者に受け入れてもらえるのかを考え、SNSで情報発信するとともに、KOLやプラットフォームの機能を利用して、表現、認知を高めていくことが求められます」(前田氏)

 中国に現地方法人などの拠点のない日本企業はとくに、中国側のパートナーにブランドの情報発信や販売方法を委ねることで間違ったブランド認知が根付いてしまうことを危惧し、有望市場であることは分かっていても、つい中国市場への進出をためらってしまうことが少なくない。そのために、日本クンチのような指南役が不可欠で、ブランド企業が「日本にいながら正確に中国をグリップできる体制」を取ることが必要だ。

 14億人もの人口がいて、SNSでは様々な情報が飛び交い、新たなプラットフォームや新しいKOLがどんどん生まれる中国市場を、自社単独で攻略するのは至難の業だ。

 「一方、消費者に目を向けると、各世代の中でもとくにオンライン消費をけん引しているのは“Z世代”(21年に11歳から25歳を迎える世代。両親も一人っ子政策下の世代で、2組の祖父母と両親の6ポケットを持つと言われる消費力の高い世代)で、彼らのニーズは前の世代より独自化・細分化されつつありSNSからの情報発信に大きく影響を受ける」と前田氏は続ける。

 プラットフォーム主催のセール時に、KOLにSNS上での情報発信を依頼し、プラットフォーム上ではSEOなどをセッティングし効果的に集客するマーケティング手法は王道だ。これも、製品購入時にKOLの情報を重視する中国の消費者、とりわけZ世代の消費行動を意識した戦略である。

 「この戦略を使ってブランド認知や売り上げを拡大するためには、新しく勢いのあるプラットフォームやどんどん生まれてくる新しいKOLとの緊密な関係作りも不可欠です。基本的にはお客様に最も近い現地・現場でマーケティングを作り上げるのがベストですが現地に何もリソースのない日本企業が、イチから作り上げ、発信することは簡単なことではありません。中国での最新のマーケティングの手法を熟知しブランドコンセプトを深く理解するとともに、日本的なリスク管理やガバナンスも理解できるパートナーと一緒に取り組むのが望ましいと言えます。

 もう一つ日本企業が中国市場で展開する際のハードルは、あらゆる面で中国のスピードについていけるかということです。市場や消費者、法規制など様々な変化があります。その変化のスピードについていけなければ商機を逃します。とりわけ日本企業はその変化に対応した判断には慎重で時間がかかります。とくに現地法人を持たず情報の少ない中では当然のことです。このため、日本クンチではブランドができるだけ早く決裁できるよう、その背景や情報・データなどを詳しく説明し、ブランドが決断できる環境を整えるのも重要な業務と思っています」(前田氏)

クンチグループはブランドのあらゆるニーズに対応する体制と豊富な展開チャネルを持つ。加えて高い物流品質も保有
クンチグループはブランドのあらゆるニーズに対応する体制と豊富な展開チャネルを持つ。加えて高い物流品質も保有

 こうした様々な課題を解決し、日本企業の中国市場への進出と成功をサポートするサービスを提供しているのがクンチである。

 クンチグループは、中国で1999年に創業し、トイレタリー、化粧品を中心とする国際ブランドの代理販売業務を行っている。クンチはクンチグループの日本法人だ。

 クンチグループは、中国アリババ集団や京東集団などのオンラインプラットフォーム、中国で約4000店舗を展開するドラッグストア「ワトソンズ」などのオフライン店舗、TikTok(抖音)やRED(小紅書)などニューリテールや情報発信チャネルなどのあらゆるチャネルで、日本製品をはじめとする国際ブランドの認知向上と販売促進を支援している。

 支援するブランドの数は200以上、オフライン店舗は7000以上に上り、その運営やコンサルティングなども含め、1500人以上の社員で幅広いサービスを提供している。

 そのグループ会社であるクンチは、日本ブランドの歴史や文化を深く理解し、よりブランドに寄り添える体制を作ることで、真の意味での「戦略的パートナーシップ」の構築を目的として17年に設立された。

 「もともとクンチグループは、創業以来20年近く日本のブランドとの取引があり、深い関係を築き上げていました。そのノウハウを生かし、さらに多くの日本企業が安心して中国市場にチャレンジできるよう寄り添い、支援するべく、日本社会に根差した会社を作ることを目的に誕生しました」と前田氏は説明する。

 日本企業のブランドに対するこだわりや想い、また日本企業の業務の進め方、リスク管理やコンプライアンスなどの考え方を十分に理解し、その上で中国の消費者やKOL、プラットフォームなどの最新情報をブランドに提供し、中国の文化・商習慣への理解を求めながら最適な手法で中国にブランドを根付かせることを支援している。そのための体制として、クンチのスタッフには、日中のブランド企業や流通業界に精通するエキスパートを集めた。

 例えば前田氏は、資生堂に23年間勤務し、中国にも約10年間駐在してサプライチェーン全般および経営管理などを担当。他にも日本トップの百貨店の日本および中国での責任者や最大手トイレタリー企業の総経理経験者など、日本企業の文化と中国市場の両方を多面的に理解するメンバーが前田氏をサポートしている。

 提供するサービスは、企業のニーズや、中国事業に投入できる経営資源、ノウハウの有無などによってさまざまだ。

 「お客様のニーズおよびブランドの状況に合わせて、戦略を設計します。クンチグループはオンライン・オフライン、越境EC・一般貿易といったフルチャネルの中での販売チャネルの選択や、機能としてはクリエーティブ、マーケティング、物流といった中での業務の選択もできます。日本での買い取り、中国での買い取り、店舗運営のみなど、どのような商流でも選択可能です。もちろんフルフィルメントの対応は最も得意とするところです」(前田氏) 

中国でのブランド認知向上にたけたクンチグループ。適切なマーケティングで市場規模を拡大、各賞の受賞歴も多数だ
中国でのブランド認知向上にたけたクンチグループ。適切なマーケティングで市場規模を拡大、各賞の受賞歴も多数だ

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