提供:クンチ

巨大化する中国EC(電子商取引)市場。しかし、消費者の意識や行動が異なる中国でのブランド認知獲得や販売拡大は容易ではない。中国におけるブランド育成に精通した指南役企業、クンチの前田大介代表取締役に、日本企業が中国EC市場への参入で陥りがちな問題点とその解決策について聞いた。

クンチのメンバーと同社代表取締役の前田大介氏(左から4人目)
クンチのメンバーと同社代表取締役の前田大介氏(左から4人目)

巨大化する中国EC市場と、選別が進む日本製品

 コロナ禍以降、いち早く自国民の外出や地域間移動、海外渡航を厳しく制限した中国。その結果、日本でのインバウンド(訪日外国人旅行)消費はほぼ全滅し、中国国内では、数年前から急拡大していたオンライン消費の割合がさらに高まった。

 2020年の中国のEC小売額は12兆元(約200兆円)と、5年前の約3倍に。中国の小売総額に占めるEC小売額の割合も、5年前の10%強から30%近くまで高まっている(※1)。

 一方、経済産業省の調査によると、日本から中国への越境EC購入額も20年に2兆円に届くとされており、日本企業にとっては大きな魅力となっている。

 歴史的には19年に電子商務法が施行され、インバウンド購買を含む代理購買などの個人業者へも納税義務が発生したことも越境ECの成長を後押ししている。

 越境ECチャネルにおける中国の消費者からの日本製品への信頼は相変わらず高い。

 「日本製品は、古くから安全で高機能、高品質などが高く評価されていましたが、訪日客の増加や、その口コミの広がりとともに、化粧品やトイレタリー製品への人気も高まりました。もちろん越境ECだけでなく、一般貿易で中国に輸出した日本製品をオンライン販売する国内EC(訪客量は越境ECより圧倒的に多い)でも、日本のブランド製品は引き続き堅調です。ただし、最近中国国産ブランドの成長も著しく、日本製と書かれていれば何でも売れたのは、遠い過去の話です」と語るのは、日本企業と、中国のプラットフォーム(EC事業者)やオフライン流通などを仲介するクンチグループ(本社・上海)の日本法人、クンチ代表取締役の前田大介氏である。

 「中国の消費者はSNSを通じて最初にブランドに出会います。消費者の口コミやKOL(SNS上でのキー・オピニオン・リーダー、日本でいうインフルエンサー、ライブ販売を行うライバーを含む)が発信する使用感などの体験や成分などの詳細な商品情報を基に、製品を選別するようになっています。そうした情報発信者と売り場であるプラットフォームとの連携なくして認知度向上、市場拡大はありません。ただ日本製だから、モノが良いからといったことだけでは、消費者にはまったく届きません」と前田氏は説明する。

※1 経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2020年7月22日)

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