10月22日(金)のシンポジウムを意識変革の契機に

 以上の研究内容は、技術的には既に確立されているという。これからいよいよ実証実験を繰り返し、早期の社会実装を目指すフェーズに入るようだ。

 「現在、プロジェクトに参画する企業が主体となって製品化を進めていますが、2030年までには中小企業でも使えるような環境を実現していきたいと考えています。2021年10月22日(金)(10月15日技術紹介プレオープン)にオンラインで開催する『SIP/サイバーフィジカルセキュリティシンポジウム』では、一般の視聴者の方も参加してディスカッションできる場を設けます。そこで得られるご意見も社会実装を進める上で重要な情報となるでしょう。シンポジウムでは、実証実験の内容なども紹介できると思いますので、ぜひ私たちの取り組みをご理解いただいて、様々な意見をいただければ幸いです」(後藤氏)

 なおシンポジウムでは、企業のセキュリティのリスク対応を評価する米BitSight社のCo-Founder兼CTO Stephen Boyer氏と、トヨタ自動車のコネクティッドカンパニー フェロー 村田賢一氏による招待講演も行われる。前者は米連邦政府を中心とした「サイバー・フィジカル・セキュリティ」の課題、後者はスマートモビリティを実現する上で必要と考えているセキュリティの姿について語られる予定。いずれも一聴の価値がある内容になりそうだ。

 「サイバー攻撃やシステム障害といったデジタル由来のリスクは、いまや台風や地震などと同様、事業継続を脅かす存在になっています。私たちはそうしたリスクを最小限に抑え、企業のレジリエンス強化に貢献することを見据えて研究に勤しんでいます。ただし、研究の成果を役立てていただくためには、経営者の方々が、自分たちのビジネスがいかにデジタル依存であるか、改めて認識してもらわなければなりません」と後藤氏は強調する。

 実際セキュリティ対応の良し悪しが、株価や企業業績、あるいは経営人事に直接影響を及ぼすことはもはや珍しくない。今後、ますますフィジカル空間とサイバー空間の融合が進む中で、その重要性は確実に増していく。「SIP/サイバーフィジカルセキュリティシンポジウム」が開催されるこの機会、日本企業すべての経営層が危機感を強め、意識変革が進むことを期待したい。

<span class="fontBold">後藤 厚宏 氏</span><br />NTT研究所にて研究開発等を経て、2007年よりNTT情報流通プラットフォーム研究所長、2010年よりNTTサイバースペース研究所長。IEEE Computer SocietyのBoard of Governor、情報処理学会理事、enPiTセキュリティ分野代表を歴任。2011年7月より情報セキュリティ大学院大学教授。2015年11月より内閣府SIPプログラムディレクタ、2019年2月よりサイバーセキュリティ戦略本部員を併任。2017年4月より学長。
後藤 厚宏 氏
NTT研究所にて研究開発等を経て、2007年よりNTT情報流通プラットフォーム研究所長、2010年よりNTTサイバースペース研究所長。IEEE Computer SocietyのBoard of Governor、情報処理学会理事、enPiTセキュリティ分野代表を歴任。2011年7月より情報セキュリティ大学院大学教授。2015年11月より内閣府SIPプログラムディレクタ、2019年2月よりサイバーセキュリティ戦略本部員を併任。2017年4月より学長。

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