提供:PwC Japan グループ
PwC Japanグループは5月19日、「2022年AI予測(日本)」を発表。国内で3回目となる本調査は、米国に追いつく日本のAI活用状況と、過去にはない新たなトレンドを浮き彫りにした。
日米企業を対象に実施した「AI予測調査」の概要と傾向
企業のAIに関する取り組み内容や活用状況を調査・分析するPwCの「AI予測調査」は、米国では2018年から、日本では2020年より毎年実施。今回の調査は、2022年1月にWebアンケートを通じて行われた。調査対象は、AIを導入済みまたは導入検討中の企業で、日本は売上高500億円以上の部長職以上300名、米国は5億米ドル以上の企業幹部1000名となっている。
調査を通じて見えてきたのは、日本のAI活用における2つの明るい兆候だ。1つは、日本のAI活用状況が米国並みに進展していること。もう1つは、これまでにない新たなユースケースが生まれつつあることだ。その一方で、人材育成やAIガバナンスへの取り組みといった課題もまだ多い。ここでは、PwCの専門家たちによる解説と提言を紹介する。
米国に追いつく日本のAI活用。売上向上への期待も大

今回の調査で特筆すべきなのは、日本企業のAI導入が急速に進み、米国との差が縮まった点です。まずAI導入状況を見ると、53%の企業が「全社あるいは一部の業務でAIを導入している」と回答。2021年の43%から10ポイントも増加しています。ちなみに2020年は27%。わずか2年で大きく進展していることがわかります。
要因の1つは、2018年に経済産業省が「DXレポート」を発表したことにより、DXという言葉が広まり、企業の取り組みが加速したこと。また、ファーストペンギンが飛び込んだ後にフォロワーがどっと動き出す、日本企業の特徴を表した結果ともいえます。
一方で、米国のAI導入状況は、昨年比3ポイント減の55%。その停滞理由は、米国でも全ての企業が進んでいるわけではなく、6割というのがひとつの天井になっていること。さらに、短期的な成果を求められる米国では、結果が出ないとプロジェクトを継続できず、現在はコロナの影響で投資が止まっているのではないか、と我々は推察しています。
結果、日本53%、米国55%と、調査におけるAI導入企業数は僅差に。事実上、日本は米国に追いついたといえるでしょう。ただし、その内訳は大きく異なり、米国では「全社的に広範囲にAIを導入している」と回答した企業が26%であるのに対し、日本は13%と倍の開きがあります。また、AI活用のROI測定やリスクの考え方でも、まだまだ米国に後れをとっている状況です。
課題はあるものの、AI活用が進む企業では売上向上などの明るい兆しが見られているのも事実です。1年後の売上高予測の調査では、AI未導入企業の49%が売上高減少を予測する一方、AI導入企業では55%が売上高増加を予測。明確な相関関係はありませんが、AIの活用がビジネスに大きく貢献していることは明らかでしょう。
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