コンサルタントの役目は従来の前提や制約を外してあげること
この方向性のもと、クニエでは、製造現場のデジタル人材やデータサイエンティストの育成、組織化を支援。日本製造業のDX実現を阻む課題の1つである人材不足を解消するためのコンサルティングサービスを提供している。
「進め方としては、まず経営企画部門、デジタル推進部門など、全社のデジタル化・DXを主導する部門と話し合い、社内の意識変革やデジタル活用の進め方のグランドデザインを策定します。その上で、クニエのプロジェクト実践から創り上げた方法論を活用しながら、その会社の事業、文化に適合したデジタル人材に求められるタイプとスキルを定義し、組織の各層に対して変革に臨むデジタルのマインドセットを考えていきます」
例えば経営層に対しては、デジタルは単なる手段ではなく、業界のディスラプション、ビジネスモデルのイノベーション、ビジネスプロセスの変革を図るキーであり、その駆使を考えることがビジネスそのものだと発破をかける。また中間管理層には、デジタルの波に乗らないと事業運営が困難になり、自らが変革の中核を担うべきという意識を植え付ける。そしてデジタルネイティブ世代には、自らが企業内の遅れた部分を変えるという動機付けを行う。このように、組織としてドライブがかかるように設計するという。
グランドデザインが固まったら、クライアントの状況を反映した啓発やマインドセット、スキル獲得などの啓発や研修の資料を作成する。例えば「啓発編」では、デジタルやデータサイエンスに関する世界の動向と社内方針、世界でよく使われている話題のAIの概要、統計や機械学習の基礎、ツールなどを紹介。「基礎編」「応用編」などの上位研修では、自らが中身を理解して、活用できるように演習も交えながらデジタル活用やデータ分析のプロセス、データ解析やデジタル実装の基礎などを学ぶ。
さらに、社内事例を題材にしたケーススタディの学習や、推進部門担当者とディスカッションしながら、各部門に眠っているデータの発掘方法や解析ノウハウ、デジタル活用のアイデアについて学びを深めていくこともある。
「ここで重要なのは、人材育成に取り組む主体はあくまでお客様自身だということです。クニエは、お客様がデジタル人材育成の取り組みを『自走化』できるようにすることをゴールに設定しています。そのため、我々が主導してセミナーや研修を行うのは、各コースの初回もしくは2回目までとして、研修プログラムや教材・資料も、お客様の推進部門の担当者様と共同でつくり上げます」。この過程で、顧客の推進部門が旗振り役としてのマインドセットを獲得できるようにする。同時に、コンサルタントのノウハウを引き継ぎ、その後の取り組み、さらには全社のDXを主導できるようにしていくという。

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