提供:クニエ
事業を知り尽くした「現場力」がデジタル活用のカギ

テクノロジーは、今やビジネスの実行には欠かせないものとなった。特に「データ」は、ヒト・モノ・カネに次ぐ第4の経営資源と呼ばれる。膨大なビジネスデータを収集・分析し、売上予測やサービス改善に役立てる。データの活用をどこまでビジネス価値に繋げられるか、データサイエンスや機械学習のビジネスへの適用が、企業経営全体を左右する時代といえるだろう。
この状況のもと、経済産業省もデータサイエンティスト、AI人材などの人材育成を重要な政策課題として掲示。「デジタル人材」の育成、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)が日本の未来をかけたミッションになりつつある。

「中でも、DXへの期待が高まるのが、日本の中核産業である製造業です。これまでも、モノづくりのデジタル化でプロセス間やパートナーとの間をつなぎ、高度化を図る『スマートファクトリー』などの領域で、多くのIT投資が行われてきました。とはいえ、取り組みは局所最適になりがちで、本質的な変革をもたらす、組織や企業の枠を超えたバリューチェーン全体の最適化やエンジニアリングチェーンとの連携となると、まだ課題は多いのが実情です」とクニエの井出 昌浩氏は話す。
それでは、日本の製造業がDXを成功させ、持続的成長を実現するには何が必要なのか。1つの解となるのが、「製造や事業の現場に変革リーダーを育て、日本が長年持続的に活動してきた改善活動をベースとして現場を巻き込み、現場も牽引する問題解決や変革の道具としてデジタルを活用できるようにすること」だという。
「例えば北米では、テクノロジーをビジネスモデルに組み込んだベンチャーが台頭し、古い体質の企業にとって脅威となっています。またドイツでは、伝統的な企業が、中長期的なゴールとその達成のためのルールを決め、プロセスを定義・実践するやり方で組織の変革を実現しています。一方、日本企業の特長は、事業を担うボリュームゾーンである現場のリーダーの意識が高いこと。この層に、デジタルを活用した問題解決の技法を知り、問題解決の技法の拡大、活用できる人を増やすことが、企業の体質変革につながります」
従来の工場では、現場の担当者がマニュアルに沿って、データ入力やコンピューターの操作を行ってきた。だが、AI やIoTの普及で、センサーによる稼働状況の可視化・分析や不具合の検知などが自動化できるようになっている。デジタルツールをうまく使えば、QCDの向上は勿論のこと、ダイナミックに現場の負荷を軽減したり、安全性を飛躍的に高めたりすることが可能となるのだ。
「これを実現するには、デジタル推進担当だけでなく、現場の管理者や担当者も、急速に進化するデジタル技術の特徴や可能性について学び、理解を深めることが不可欠です。その上で、どのようにデジタルを活用すれば顕在化している問題や事業拡大のための潜在的な問題を解決できるのか、活用のアイデアを自ら考えて自律的にアクションを起こす。単に推進組織や上位組織から言われたことをやるだけではなく、日本が誇るTQC(Total Quality Control/総合的品質管理)活動の流れをくんだ現場の発想力を生かし、現場が自律的にデジタル活用に取り組むことが重要です。それが日本型DXの1つの方向性だと考えます」
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