日本企業の不正会計が後を絶たない。東京商工リサーチによると、不適切会計を開示した上場企業は2015年以降、50社超のペースが続いている。そもそもどんな人が会計操作してしまうのか。不正の疑いがあるとされた社員に対して聞き取り調査などを行ってきた複数の会計士の話から人物像を探ってみる。

14年に公開された宮沢りえ主演の映画「紙の月」。清楚で控えめな女子行員が、勤め先の銀行で横領に手を染める姿を淡々と描いた作品だったが、現実世界でも似たような人が悪事を働いているようだ。
不正社員像について、ある会計士は「私の実感では、9割は社内で『真面目だ』と思われていた人」と明かす。人は外見で判断できないとはいえ、「ひょっとすると悪いことをするのではないか」と疑われるタイプほど、「シロ」であることが多いという。
まさか、この人が? そんな意外な社員も加担する不正が後を絶たない。東京商工リサーチが1月24日に発表した「不適切な会計・経理の開示企業」調査によると、2018年に不適切会計を開示した上場企業は54社。15年以降、50社以上の水準が続いている。18年の内容を見ると、経理や会計処理ミスなどの「誤り」も22社あるが、「架空売り上げの計上」や「水増し発注」など「粉飾」が21社、役員や従業員による着服横領が11件を占めている。

誰がどうズルをしているのか。不正調査にかかわる会計士によると、実態の解明はそう簡単ではないという。会計データをどれだけチェックしても不正がばれないように巧妙に繕ってあるためだ。
だからといって、バレないと考えると痛い目に遭う。15年に発覚した不正会計で東芝が存亡の淵に立たされたことは記憶に新しい。
日経ビジネスの2019年2月25日号「実録 不正会計」では、そんな不正会計の手口と背景に迫った。
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