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しかし、ほぼ前例がない中で、どう対応を決めていったんですか。

髙田:やっぱり理念だと思います。だから、最近の不祥事で、データ改ざん事件とか、これは利益(確保)でしょうね。それを防ぐには、やっぱり理念ですね。「何のために自分たちが、この商品を扱っているんだ」ということです。いろんな会社が、それぞれ事情があるんでしょうけれど。

 時代がどんどん変わっていって、やっぱり難しいんですよ。去年やったことが2~3年続くわけじゃない。だから、(情報管理の)専門部署を設けてやっていかなきゃいけない課題じゃないかと思いますね。

「見えない客」が見える

髙田さんは、事件前からテレビやラジオでしゃべって、その結果で売り上げが大きく跳ね上がったというエピソードがありました。

髙田:売れないこともあったんですけど(笑)。

でも、売れたり、売れなかったりしながら、見えない視聴者と対話をしていた。だから、事件でも顧客に対しての想像力があったのではないか、と。

髙田:そうですね。30年近くラジオ、テレビをやってきて、見えていないけど、見えているというのが僕の主義でしたから。「じゃあ、何で見えているんだ」と言われますが、心の目で見ているんです、と。声の中に見えているものがあるということを言っていました。

ですから、経営者でありながら、ほぼ現場ですよね。先頭に立ってトップセールスみたいな感じでやっていた。やっぱり経営者が常に客にどう受け止められているか、感じ取っていかないと。

髙田:そうです。要するに現場に立つことはすごく大事で、一番(顧客の)姿が見えるということなんですよね。だから、経営者でも何でも、人を感じる心です。これがすごく人間、大事だと思うんです。相手が何を今考えているのかと。会話していても、その表情から読み取る。

 だから、「いい上司」というのは、仕事の関係だけじゃないんですよ。仕事はやっていても、その子が「何かあるんじゃないか」ということを感じられる。現場に立つということは、その人を感じなきゃいけないんです。そして社員は成長していくんです。そうしたら企業が成長していく。だから、人を感じるということは、お客さんを感じることと一緒だし、そういう部分がやっぱりいるのかな、と。

で、事件の時、テレビ出演を中止した。その後、出演頻度も減りましたね。

髙田:2カ月ぐらいはもう出なかった、まったくね。出演していない間は、第一に考えたのは、なぜ(事件が)起きたのかの解明です。だから、2カ月間は警察の方がしょっちゅう出入りして、我々も情報を調べてどんどん出していった。それで04年6月に逮捕されたわけですよね。情報流出されたままだったら、「また流出するんじゃないか」という心配もある。そこを解明しました、対策も打ちましたと言える状態にならないと。

 テレビに出演して、のうのうと語れないので自粛したということですよね。その後は、CSなどは若い社員に任せて、僕は地上波の方に復帰していった。