(聞き手は本誌編集委員、金田信一郎)

日経ビジネスが創刊50周年を迎えまして、今、「会社とは何か」というシリーズ企画をやっています。2月は、挫折を味わった企業や経営者にご登場していただこうかと。
髙田:いろいろ不祥事がありましたね。
そこでダメになった企業もあるんですが、失敗から学んで、組織が強くなった会社も少なくありません。ジャパネットたかたでも、2004年に情報漏洩事件が起きました。
髙田:そうですね。情報流出の04年は特殊な1年でしたね。05年に個人情報保護法が完全に整備されるんですが、当時は、今みたいにデータ管理が発展していない時代なので、経験のないことでした。
今でも(事件が)消えたわけじゃないので、100年たってもその反省は残っていきます。それは今、会社を引き継いだ旭人社長(注:髙田氏の長男)も理解しています。
反省は、トップが代わっても続いていく。
髙田:社長交代が15年1月でしたが、その時に「不易流行」という言葉を言いました。「不易」、つまり変えちゃならないものがある、と。企業も、理念が長い年月の中で形骸化した時に、不祥事が起こったりするんじゃないか。だから、常にその理念は時代に即応した形に変えながら、経営していかなければいけない。クレド(信条)だけでは足りないよ、と。そこに研修制度を設けたり、管理職の教育をもっと強化していったりとか、課題が出てくる。
でも、あの時は売り上げが、どーんと落ちましたけどね。
150億円の減収と試算されていました。
髙田:はい。でもそれは意識してなかったんですよ。もう、それを考えたら結論が出ないんですね。だから、当時、女房とやっていて、共通認識として思っていました。売上利益が企業の目的じゃない、と。あくまで手段である。
日経ビジネスの2月11日号特集「敗者の50年史」では、日経ビジネスが創刊以来50年に渡って追い続けた企業事件の中から、失敗の本質を突き止めている。
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