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 国内最多の養殖量があるブリ。しかし、世界ではマイナーなこの食材を、サーモンに匹敵する存在へと引き上げようと奮闘している日本人がいる。近畿大学教授で食縁社長の有路昌彦氏だ。

 中国の台頭などで国際的な存在感が低下しているとも言われる日本。だが、世界で活躍し続けている人物や果敢に世界に打って出る人物もいる。日経ビジネスは2月4日号の特集「世界を動かす日本人50」で、世界を舞台に新たな地平を切り開いている日本人にフォーカスした。特集記事では、50人を紹介している。

 空前の日本食ブームにもかかわらず、日本以外ではめったにお目にかかれないすしネタがある。国内ではおなじみのブリだ。日本近海でのみ取れるブリは、ほとんどが国内で消費されているが、脂が豊富で煮ても焼いてもおいしく、サーモンのように世界的な人気を得る可能性を秘めている。

有路昌彦近畿大学教授・食縁社長(写真:菅野 勝男)

 課題は時間がたった時の独特の臭みと冷凍した際の血合いの変色だ。養殖技術で世界をリードする近畿大で教壇に立つ傍ら、魚の加工・輸出会社を率いて、難題に挑んできた。現場と二人三脚でエサや加工方法に創意工夫を重ね、課題を克服しつつある。

 「養殖業は食糧難を解決する意義のある産業なのに、なぜ経営が苦しいのか」。長崎県の対馬でトラフグ養殖に従事していた父親の姿が有路の原点。ブリという国内で最も養殖されている魚で世界に打って出る。