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 かつてEV(電気自動車)ベンチャーを率いていた男が、フィリピンで貧困層向けの金融サービスを手掛けている。グローバル・モビリティ・サービス社長の中島徳至氏だ。貧困層でも車を購入できる道を拓き、社会変革に挑む。

 中国の台頭などで国際的な存在感が低下しているとも言われる日本。だが、世界で活躍し続けている人物や果敢に世界に打って出る人物もいる。日経ビジネスは2月4日号の特集「世界を動かす日本人50」で、世界を舞台に新たな地平を切り開いている日本人にフォーカスした。特集記事では、50人を紹介している。

 自前の愛車を購入する──。ある3輪タクシー運転手は決してかなうことのなかった夢をかなえた。中島が手掛けるサービスのたまものだ。

 フィリピンで個人の信用力を可視化する仕組みを構築し、貧困層でもローンやリースが利用できる道を開いた。販売する車両に装置を設置して日々の運行情報を収集。働く意欲を見える化しつつ、滞納した場合にはエンジンを停止できる機能も導入した。運転手は収入が途絶えないようきちんと返済するようになり、金融機関は融資のハードルを下げた。

グローバル・モビリティ・サービスの中島徳至社長(写真:北山 宏一)

 もともとはEV(電気自動車)開発のベンチャーを率いていた。3輪EVを普及させ大気汚染を解消しようと同国にやってきたが、出会ったのはローンを組めない人たちだった。

 「環境に優しいEVを作っても、売れなければ社会変革にはつながらない」と痛感。資金調達に苦労した自身と彼らの姿を重ねながら、事業にいそしんでいる。