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 新日鉄住金のとある製鉄所。その高炉から、真っ赤に燃え盛る溶銑(溶けた銑鉄)が流れ出てきた。温度は2000℃にもなるから、周囲は防御服を着なければ耐えられないほどの暑さだ。だが心配ない。そこで作業をしているのは人、ではなくアバターなのだから――。

 同社子会社で情報システムの構築などを手掛ける新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は今、こんな未来を想定して、人と同じ動きをする遠隔ロボット(アバター)の開発に取り組んでいる。人がセンサーを備えたスーツやVR(バーチャルリアリティー)眼鏡をかけると、遠くにいるロボットに「乗り移る」ことができる(下の写真)。

遠隔で動くロボット

 実は今、このアバターを開発する企業が増えている。トヨタ自動車は人がロボット操縦席のようなコックピットに座ると、遠隔にいるロボットを操作できる仕組みを開発している。想定しているのは災害地で救援作業に従事することなどだ。

トヨタが開発するヒューマノイドロボット「T-HR3」(右)

 大企業ばかりではない。東京大学・慶應義塾大学発のスタートアップ、Telexistence(テレイグジスタンス、東京都港区)は、人が自宅でVR眼鏡をかけ、専用機器の画面で行きたい場所をクリックすると、桜の咲き乱れる場所や宇宙空間といった場所へアバターとして行き、好きな体験ができるシステムを開発している。 

テレイグジスタンスが開発する遠隔存在システム