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 外食大手のコロワイドは9日、定食チェーン大手の大戸屋ホールディングス(HD)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。19%の持ち株比率を51%まで高めて連結子会社化するのが狙い。大戸屋HDの反発は必至で敵対的TOBになる可能性が高い。大戸屋HDは6月25日の株主総会で、取締役会刷新を狙ったコロワイドの株主提案を退けたばかり。間髪入れずに二の矢を放ったコロワイド。大戸屋HDが窮地に追い込まれたとの見方が広がっている。

コロワイドは傘下に牛角や甘太郎を持つ外食大手

 TOBは7月10日から開始する。価格は1株あたり3081円で、直近の大戸屋HD株に46%のプレミアムを付けたことになる。コロワイドは現在、19%の大戸屋HD株を保有しているが、TOBにより最大51.32%まで買い増して子会社化し、事実上買収する狙いがある。コロワイドの費用は最大で約72億円。上限を51%にとどめることで、大戸屋HDの上場は維持する方針だ。

 コロワイドは食材の共同仕入れやコロワイドのセントラルキッチン活用などでコスト削減効果が見込めると主張している。大戸屋HDが、「コロワイド傘下になると最大の売りでもある『店内調理』の良さが失われる」と主張していることについて、コロワイド側は「『店内調理』を継続し、お客様の信頼に足る品質を担保した上で、経営上の合理化により販売価格見直しの原資を捻出」すると明記。店内調理をやめるわけではないとして株主に理解を求めた。

 コロワイドは6月の大戸屋HDの株主総会で12人の取締役選任を求める株主提案を出していた。大戸屋HDの取締役会を刷新した上で、第三者割当増資などの手法を使い買収するのが狙いだった。株主提案が退けられてからわずか2週間後のTOB発表。大戸屋HD関係者も驚く「速攻」だ。コロワイドの野尻公平社長はこれまで日経ビジネスの取材に対し、株主提案が通らなかった場合は敵対的になってでもTOBを実施して買収する考えを明らかにしていたが、有言実行したことになる。

 株主総会で敗れたコロワイドだが、今度の戦いはどうだろうか。いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「90%以上の確率でTOBは成立するだろう」と指摘する。9日に日経ビジネスが取材した10人近い金融関係者でも、TOBの不成立を予想する人は誰もいなかった。なぜだろうか。