LIXILグループの潮田洋一郎会長兼CEO(最高経営責任者)に事実上解任された瀬戸欣哉・前CEOとともに、6月の定時株主総会に向け取締役候補を株主提案し、会社側と対決する構図になっている伊奈啓一郎取締役が5月14日、日経ビジネスの取材に応じた。伊奈氏は「日本企業のガバナンスのためにも、我々は勝たなければならない」と決意を述べた。主な一問一答は以下の通り。

株主提案の意義を語るLIXILグループの伊奈啓一郎取締役(写真:吉成 大輔、以下同じ)
株主提案の意義を語るLIXILグループの伊奈啓一郎取締役(写真:吉成 大輔、以下同じ)

瀬戸氏や伊奈取締役らが出している株主提案に対抗する形で、会社側が5月13日に8人の取締役候補を発表しました。うち2人は株主提案の8人に名前が既に挙がっている鬼丸かおる氏、鈴木輝夫氏です。

伊奈啓一郎氏(以下、伊奈氏):8人というのは想定より少なかった。取締役の定数は16人。このままだと理論上は会社提案、株主提案の全候補者が取締役に選ばれることもあり得る。ただ会社側は取締役は8人程度が適当と言っているので、我々を落とすつもりなのだろう。

 我々は8人だけでやると言っているわけではないので、会社提案の候補者が通っても取締役会が成り立たないわけではない。ただ、会社側の意図がよくわからない。会社提案の社外取締役の方々の情報をまだ我々は持ち合わせていないので、現時点では評価のしようがない。だが、もしも、潮田洋一郎会長兼CEOとの接点があるとわかれば、ダメと判断するかもしれない。

 我々の候補者になっている鬼丸さん、鈴木さんを候補に立てたのは、我々を分断しようという意識があるのかもしれない。

鬼丸氏、鈴木氏の反応はどうでしょうか。指名委員会は両氏に直接連絡を取る方法がなく、瀬戸氏に連絡を頼んだと会見で明らかにしました。

伊奈氏:まだ十分な話し合いを2人とはできていない。だが8人の結束が崩れるとは思っておらず、分断作戦は成功するわけがない。聞くところによると、2人には指名委員会(会社側)から何の連絡もなく、発表当日(13日)の朝に瀬戸さん経由で候補者リストに載っているという情報をもらって驚いたようだ。

 指名委員会は2人と既に面接したにも関わらず、連絡手段すら確保していないのはあまりにもいい加減で手落ちだ。そもそも候補に入れるつもりがなかったのではないか。それを直前にやっぱり入れよう、と名前だけを載せたのではないかと思ってしまう。

 鬼丸さんは「会社側の真意がわからないし、取締役候補者を選ぶ手続きを無視しているのではないか。なぜ無断で指名したのか理由を聞きたい」と言っていると弁護士経由で聞いている。2人は会社側候補を辞退する可能性が高いのではないか。2人とも立腹していると思う。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1434文字 / 全文2507文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「TOPIC」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。