ミシュラン東京掲載店ともコラボ

 日本開拓の切り札として進めるのが、「ミシュランガイド東京」でも紹介されたラーメン店「麺処 びぎ屋」など日本のラーメン店とのコラボレーションだ。他国での展開も検討しており、ラーメン店にとっては自社の開発メニューがグローバルで提供できる可能性があるということだ。

ヨーカイ・エクスプレスは家庭向けにサブスクリプションでのサービスも検討している
ヨーカイ・エクスプレスは家庭向けにサブスクリプションでのサービスも検討している

 ヨーカイ・エクスプレスは日本で、コーヒーメーカー程度の大きさの家庭向けモデルの販売も検討している。サブスクリプション(定額課金)型のサービスにしたいという。「大きな場所は取れない」という顧客には、こうした小さいモデルが重宝される可能性もある。

 家庭向けの機器の製品を食べてみると、こちらもメンマや肉などの具がしっかりしている。麺の硬さなども調整できれば面白いかもしれない。

 日本以外で台湾などでも事業展開をもくろむ。本社のある米国では人がいない「移動式屋台スタイル」の新規事業の実証試験も検討している。今夏にも米カリフォルニア大バークレー校の構内などで、アプリでオーダーできる屋台式を試す予定だ。

 ヨーカイ・エクスプレスにはすでに日本で物流や麺製造のパートナーがいる。日本の大企業と世界のフードテックスタートアップをつなぐオープンイノベーションの後押しもあり、協力関係が築かれた。

日本の大手食産業と世界中のスタートアップのオープンイノベーションの報告イベントが開かれた(22日、東京・新宿)
日本の大手食産業と世界中のスタートアップのオープンイノベーションの報告イベントが開かれた(22日、東京・新宿)

オープンイノベーション、コロナ下の機動的なマーケティングに活路

 このオープンイノベーションのプログラムは米ベンチャーキャピタル(VC)、スクラムベンチャーズの日本法人が主催しているもので、国内のパートナー企業では日清食品ホールディングスやフジッコ、伊藤園、大塚ホールディングス、JR東日本などが名を連ねている。4月22日に一部の進捗が紹介された。

 ヨーカイ・エクスプレスはJR東日本の施設などへの自販機ラーメンの設置を提案している。不二製油の担当者は「ヨーカイ・エクスプレスのビーガンメニューなどを一緒に考えられないかと思っている」と話した。

 プログラムには、冷蔵庫では腐ってしまう肉を真空・無菌調理することで保存料なしで常温で最大2年間保存できる技術を提供する香港スタートアップ「IXON Food Technology」のほか、加齢や障害で食べることが難しい人のための調理家電を開発する「ギフモ」など、ユニークな企業も参画している。大手ではフジッコが、大豆を主原料にしたコメ状の「ダイズライス」などの活用を探る。

 暮らしやビジネスを変えたコロナ禍。今年も様々な形で、新たな商品・サービスが登場することになりそうだ。

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