日経ビジネスのインタビューに答えるLIXILグループの瀬戸欣哉氏(写真:的野弘路、以下同)
日経ビジネスのインタビューに答えるLIXILグループの瀬戸欣哉氏(写真:的野弘路、以下同)

4月5日、LIXILグループの瀬戸欣哉氏が、自身を含む8人の取締役選任議案を6月の定時株主総会に株主提案する意向を表明した。創業家出身の潮田洋一郎氏の誤解を招く言動によって、昨年10月31日にCEO(最高経営責任者)から解任されたが、大株主らの支持を背景に、反撃に転じた。4月5日の日経ビジネスとのインタビューの内容を詳報する。

昨年10月31日の取締役会でCEO(最高経営責任者)から解任されてから5カ月余りが過ぎました。今年6月の定時株主総会で自らを取締役として選任するよう求める議案を株主提案しようと決断したのは、いつでしたか。

瀬戸欣哉氏:最初はとにかく、「えっ?」という感じで、実際に何が起きたのか、確信を持てるまでに1カ月くらいかかりました。当初から、こんなことが起きたのではないかと感じてはいましたが、そこまで行動が決まりませんでした。

 確信が持てた後、まずは取締役会の中で動きました。潮田さん、山梨(広一)さんをCEO、COO(最高執行責任者)から解任したいと、社外取締役に働きかけましたが、決議までいきませんでした。基本的に、取締役会の票読みはできます。独立社外取締役がどのような反応をするかで決まりますので、社外取締役に働きかけましたが、いい成果は得られませんでした。それが12月です。(編集部注:LIXILグループの取締役は12人。内訳は、潮田氏、山梨氏、旧トステム系3人=昨年10月31日の取締役会で瀬戸氏の解任に賛成、瀬戸氏、旧INAX系2人=瀬戸氏の解任に反対、社外取締役4人)

 それと並行して11月末ぐらいから、今回起きたことを調査しましょうという動きが出てきました。そのときには何が起きたのか分かっているつもりでしたので、社内ではっきりさせることができるのではないかと期待を持ちました。調査をしたら潮田さんに問題あることが明らかになって、何らかの判断がなされるだろうと。

それが、西村あさひ法律事務所に依頼した調査・検証ですね。

瀬戸氏:そうです。しかし、残念ながらその報告書の内容は、僕から見たら恣意的で、中立的ではありませんでした。しかも、ガバナンスの観点からは問題があるという結論だったのに、事実上、反省しますと言っているだけ。それ以上、何もしない。これはまずいと思いました。

 結局、これがきっかけで機関投資家による臨時株主総会の招集請求につながったわけです。取締役会でガバナンスを是正できないのなら、臨時株主総会で2人を解任しようという機関投資家の判断は非常にまっとうで、ありがたい話です。

 しかし、彼らは取締役を解任することしかできません。大株主らの株主提案が会社に届いたのが3月22日。それを見て、僕自身としてはどうすべきか、考えないといけませんでした。1つのオプションが、定時株主総会で僕を含む取締役候補を提案することでした。そこで3月27日ごろから、社外取締役候補を探しはじめました。幸いなことに、意外と早く社外取締役候補を見つけることができました。

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