新型コロナウイルスの影響による航空各社の苦境が続く中、業界3位のスカイマークの経営が厳しい状況に置かれている。2021年3月期の営業損益は300億円程度の赤字となりそうだ。債務超過になる可能性もある。経営破綻から復活して航空「第三極」を目指してきたが、その火をともし続けることができるか。

スカイマークに債務超過の危機が迫っている(写真:共同通信)

 スカイマークは非上場で、2021年3月期の決算を公表するのは例年6月だ。現時点の見通しでは300億円程度の営業赤字になることが濃厚。20年4~9月期の営業赤字額については、佐山展生会長が同年9月の時点で100億円程度との見込みを示していたが、170億円前後に膨らんだようだ。

 同社の20年3月期末の純資産は216億円だった。仮に最終損益として300億円をそのまま赤字計上すると、バランスシートの上で80億円程度の債務超過に陥る。

 債務超過を回避するべく、21年3月期に実質的な税金の前払い分を資産計上する「繰り延べ税金資産」を100億円超積む方針だ。

 税や会計のルールでは、今期発生した大幅な赤字は今後見通せる利益と相殺し、将来の税の支払額を減らす効果を生む。この負担軽減分を繰り延べ税金資産として今期に計上できる。これらにより、最終赤字を150億円程度に圧縮しようと動いている。

 ただ、繰り延べ税金資産は将来の利益をあてにするため、実現するか危うい面がある。

 ワクチンの接種が始まっているとはいえ、航空需要がどこまで戻るか見通しにくい。合理的な業績回復のシナリオを描き、監査法人などに実現可能性を認めてもらう必要がある。

 スカイマークはANAホールディングス(HD)、日本航空(JAL)と比べ厳しい財務状況にある。大手2社もコロナ禍に苦しみ、大きな赤字となる見通しだが債務超過になる状態ではない。

 ANAHDの20年3月期末の純資産は1兆688億円で、21年3月期の営業赤字は5050億円の見込み。JALは純資産1兆496億円に対し、EBIT(利払い・税引き前損益)予想は4200億円の赤字だ。加えて両社は21年3月期に増資などで資本を増強している。

「我々は選ばれる会社」

 果たしてスカイマークはどこまで利益を出していけるのか。「我々は選ばれる航空会社なんだ」。佐山氏は周囲にこう自信を示している。3月は国内線の運航率を計画比で97.4%とし、2月の29.5%から一気に引き上げた。

 ANAとJALの3月の運航率が5割前後であることを考えれば、強気の姿勢が鮮明だ。「他の航空会社の便数に追随する必要はありません」。佐山氏はSNSにこう書き込んだ。

 しかし、社内にすら「いちかばちか」の復便だと疑問視する声がある。理由の一つに、運航した便の座席数がどれくらい埋まったかを示す座席利用率(国内線)を見ると、必ずしもスカイマークが大手より高いわけではないことが挙げられる。

 例えば、航空需要が「Go Toトラベル」の東京追加で回復した20年11月。ANAの利用率61.5%、JALの66.6%に対し、スカイマークは59.8%と下回った。同年2月の時点ではANAが63.7%、JAL65.8%に対しスカイマークが80.6%と上回るなど、同社の数字はもともと高い水準にあった。

 旅客数の定義が各社で異なるため単純比較はできないが、少なくとも「選ばれる航空会社」になっているかは微妙だ。

続きを読む 2/2 「単一機材」が裏目に

この記事はシリーズ「TOPIC」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。