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 伊藤忠商事がデサントに仕掛けたTOB(株式公開買い付け)を巡り、デサントに和解案を示した(「スクープ 伊藤忠が和解案、デサントへの敵対的TOBで」)背景には、現状のままでは事態が一層、混乱することも想定されるからだ。

 TOB価格にはプレミアム(上乗せ幅)が50%もついているため、市場では伊藤忠がデサント株の40%を保有するのはほぼ確実とみられている。その場合、議決権行使比率を勘案すると、6月にも予定されているデサントの株主総会で、創業一族でもある石本雅敏社長を含む現経営陣の再任が否決され、経営陣が伊藤忠によって総入れ替えされる可能性が高まる。

 そうなるとデサントの社内が反発し、一層泥沼化する事態が想定される。デサントの労働組合も、会社側と歩調を合わせ伊藤忠のTOBに反対する意思を示している。TOBを通じてデサントに経営陣を送り込むことができても、デサント社内を掌握できないリスクがあった。

 今後の焦点は伊藤忠の和解案にデサントがどう対応するかに移る。

デサントの石本社長はどう決断を下すのか(写真=水野浩志)

 まず、考えられるのは伊藤忠の提案を全面的に受け入れるシナリオ。次の株主総会で現経営陣の再任が否決されるのであれば、少なくとも2人の取締役を送り込める和解案に乗った方が得策と考えてもおかしくない。創業家の石本社長も取締役としてとどまることができるかだ。

 一方で、デサント社内にはこれまでの伊藤忠のやり方に不満を持つ社員も多い。経営陣が伊藤忠の提案受け入れを決めるにも時間がかかる可能性がある。

 いずれにしても、TOB自体は両社が和解しようが粛々と続くことになる。一度発動したTOBは撤回ができないからだ。

 デサントの企業価値向上に向けてどうかじ取りを担うのか。TOB後の経営陣には重い役割が課されることだけは間違いないだろう。

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