日立製作所が風力発電機の生産から撤退することで、成長事業に位置付けていた再生可能エネルギー事業の戦略見直しは必至だ。

 日立は昨年6月に発表した事業戦略で、再生可能エネルギー関連事業の売上高を2021年度に18年度見込みの5倍にあたる4000億円に引き上げる計画を掲げた。主力に据えたのが、風力事業だ。同事業だけで2500億円の売り上げ増を狙ったが、今回の戦略転換を受けてこれらの目標数値は引き下げる方向で見直している。

日立はエネルギー事業の再構築を進める(昨年12月、ABBの送配電システム事業の買収を発表した日立の東原敏昭社長=写真:共同通信)
日立はエネルギー事業の再構築を進める(昨年12月、ABBの送配電システム事業の買収を発表した日立の東原敏昭社長=写真:共同通信)

 英国での原子力発電所計画を凍結したばかりの日立にとって、風力事業は今後もエネルギー事業の主軸に置かざるを得ない。国内原発の新設は困難な状況が続いているからだ。

 国内の風力発電機市場は今後の成長が期待できる分野ではある。昨年11月には洋上風力発電の普及を後押しする新法が成立し、今年4月に施行される。海域の利用に明確なルールを定めることで、今後、導入機運が高まるとの期待がある。

 日立も洋上風力の市場拡大を見据え、大型の5000kW型を開発。福島県沖などで実証試験に取り組んできた。18年には台湾で大型の洋上風力発電所向けの発電機を初めて受注。同計画では21基を納入する契約だ。

 一定の成果を挙げたものの、低収益であれば、見切りをつける。今回の日立のその決断で浮かび上がるのは、発電機そのものは外部から調達し、自らはサービスで稼ぐ戦略だ。

 日立は今後、独エネルコンの風力発電機の国内販売を手掛ける子会社の日立パワーソリューションズ(日立PS、茨城県日立市)を活用しながら、引き続き風力事業の拡大を目指す方針。同社は風力発電機の設置候補地の風の状況の調査から、設置、運転管理まで一貫して請け負うソリューションビジネスにも定評がある。これまでは日立本体も自社製風力発電機を納入した顧客に対し、同様のサービスを手掛けていたが、今後は日立PSと機能を統合することでコスト削減を進める考えだ。

 日立は昨年末にスイス重電大手のABBから送配電システム事業を約7000億円で買収することも決めている。単品売りからシステムやサービスで稼ぐ事業モデルへ。日立のエネルギー事業の再構築が加速する。

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