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 LIXILグループがMBO(経営陣が参加する買収)で日本の株式市場から退出し、さらにシンガポールに本社を移して現地で上場するという構想が明らかになった(関連記事:スクープ LIXILがMBO検討、日本脱出も)。このシナリオが本当に進んだ場合、どんな影響が出るだろうか。

潮田氏は社員や株主、取引先に対する説明を求められそうだ。(写真=稲垣 純也)

 慌てそうなのが東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)だ。「個別企業の上場方針に口をさしはさむ立場にはない」(東証幹部)と言いつつ、有力企業の上場廃止は市場としての力をそぐ。しかも新規上場するというシンガポール取引所(SGX)はアジア域内でJPXがつばぜり合いを繰り広げる強力なライバルだ。

 LIXILの株主はどう思うのだろうか。ひとまずMBOの時点である程度のプレミアムがついて株を買ってもらえるのであれば、それでよしとする株主も多いのかもしれない。SGXでの取引が難しい個人投資家はなおさらだろう。

 ただ、MBO価格の設定が難しそうだ。高く買ってほしい株主に対し、潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)の側はできるだけ安い費用でMBOを成立させたい。MBO価格の設定を巡っては、過去にもカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などで訴訟が起きている。LIXILの足元の株価は過去5年で最安値圏にある。足元の株価にプレミアムを多少のせても、取得価格より低いとして不満を言う株主が出てきてもおかしくない。火種は残りそうだ。

 従業員も不安感でいっぱいだ。「いきなりシンガポールの企業になりました、と言われてもなかなか咀嚼できない」(中堅社員)。事業会社は工場があるため、シンガポールにすぐにする移転というわけにはいかないだろう。本社に付随するバックオフィス部門などはシンガポールに移転する可能性があり、社内はざわついている。

 顧客に動揺が走る可能性もある。国内の信頼できる最大手と取引していたはずなのに、突然その取引先が外資系になるようなものだ。公共工事関連などでは、日本に本社がないことで不利な面が出てくる可能性も考えなくてはいけないかもしれない。

 こうした渦巻く懸念を振り払ってまで、前代未聞の壮大な計画を進める必要があるのか。潮田氏は社員や株主といったあらゆるステークホルダー(利害関係者)に説明をする必要が出てきそうだ。

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