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 日経ビジネスの取材で、筆頭株主が経営権の売却に動いていることが明らかになったワークスアプリケーションズ「スクープ ワークスアプリ筆頭株主が経営権売却へ」は大手企業向けに統合基幹業務システム(ERP)を提供するERPパッケージベンダーとして1996年に創業、日本企業のIT効率を支援する会社として、その後急激に業容を拡大させてきた。最近では人工知能(AI)を搭載したERP「HUE(ヒュー)」の開発・販売に力を入れている。

日本のIT効率を支援してきた(写真はワークスアプリケーションズの本社が入る都内のビル)

 しかし足元の経営状況は厳しい。特にここ数年は、戦線の拡大もあってか、開発遅延が増えて顧客とのトラブルも起こるようになってきているもようだ。

 特に継続訴訟案件を抱えている点は、今回の入札の成否を左右しかねない問題でもある。兼松エレクトロニクスは17年6月に、古河電気工業は18年11月に訴訟を提起した。

 兼松の言い分は「基幹システムの更改を16年4月から稼働できるよう発注したが、製品不具合で1年の期限延長後も稼働できなかった。14億円の損害賠償を請求する」というもの。古河電工は「開発作業の遅延によって稼働予定日までに完成しないことが明らかなため契約解除と支払い代金の返還、損害賠償含め総額50億円を求める」というものだ。

 ワークスアプリ側はどちらにも反論しており、結果は裁判に委ねられることになりそうだ。訴訟の行方はともかく、こうした訴訟を抱えていること自体が新たな受注の逆風になることは想像に難くない。

 会社側は今期の売上高を前期比5%増と見込み、来期以降も毎年増収の計画を持っているようだが、訴訟の行方によってはこの計画も揺らぎかねない。今期は5%増収でも固定費が重いままなこともあり、最終損益は18億円の赤字予想。そして純資産は15億円程度まで減る見込みだ。仮に売り上げが下振れて最終赤字が膨らむようだと、債務超過転落も現実味を帯びる。

 同社は金融機関から200億円以上の借入金があるが、財務制限条項(コベナンツ)が「純資産の額を10億円以上に維持すること」とされており、金融機関との関係を考えると、まさに少しの業績下振れも許されない。文字通り背水の陣だ。こうしたワークスアプリを傘下に収めるのはどこか、引き続き注目だ。

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