異なるメーカーが一緒に働くことで生まれるパワー

何をやめるのかを意思決定するのは重要です。EVに経営資源を集中するなら、何をやめるべきだと思いますか?

ゴーン氏:何とも言えません。私は日産と関係ない立場になって3年もたっています。もちろんたくさんの情報を耳にすることはありますが、きちんとフォローできていません。

 私は推測でものを言いたくありません。私のこれまでの発言は、日産の業績などの発表に基づいています。私が目にすることができる会社の業績や方針をベースにコメントしているのです。ですから、日産社内で、今、何が起こっているのかについては、話せる立場にありません。

 ただ、3社連合のさまざまな関係者が私に電話してくるなどして、ある程度のことは知っていますよ。もちろんこれはジョークです(笑)。いずれにせよ、3社連合は力を合わせて仕事をしていません。

 私は(3社連合の枠組みを越えて)自動車会社のネットワークを構築してきました。それも最近は変化しています。(仏ルノーと日産はそれぞれ)ドイツのダイムラーとも株式を持ち合っていましたが、最近になってその関係は解消されようとしています。(編集部注:21年3月以降、ルノー、日産ともダイムラー株を売却することが順次明らかになった)。ダイムラーもルノー株の売却を決めました(編集部注:21年11月にダイムラーは、約3.1%分を保有する仏ルノーの株式を全て売却すると発表した)

 これらの自動車メーカーの経営者は、私が長い時間をかけて築いてきた提携関係を捨て去ろうとしています。彼らは異なる自動車メーカーが一緒に働くことによって生まれるパワーの価値を理解していません。さまざまな特徴を持つ企業や人がいることによる多様性は力になるのに、その価値を分かっていません。フランス人はフランス企業(ルノー)の中だけで働き、日本人は日本企業(日産)の中だけで働くように、再びなろうとしています。

 彼らはその方が安全だと考えているのでしょう。しかし自分にとって居心地のいいホームグラウンドにとどまろうとするのは、非常に危険です。とりわけ競争の激しい自動車ビジネスでは、最も危ない状況にあると言えるでしょう。

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