2018年11月に逮捕され、役員報酬の過少記載などの罪を問われる中、19年12月に海外に逃亡した日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が日経ビジネスの単独インタビューに応じた。今はレバノンで暮らしており、21年12月には日本で「世界で勝てない日本企業 壊れた同盟」を出版した。今、ゴーン元会長は、日産やグローバルな自動車産業をどう見ているのか。1回目の「ゴーンが激白『日本に攻撃され、フランスに捨てられた』」、2回目の「ゴーンが批判『ルノー・日産・三菱自連合は機能不全に陥っている』」に続き、今回は3社連合を含む自動車産業の行方について、話を聞いた。

(聞き手は山崎良兵=日経ビジネス電子版編集長、大西綾)

日産は11月末、EV(電気自動車)など電動化に5年で2兆円を投資すると発表しました。

カルロス・ゴーン氏(以下、ゴーン氏):「投資する」と宣言するのは簡単です。しかし、EV(を含む電動化)に投資するお金はどこからやってくるのでしょうか。ある分野に投資を集中する場合、ほかの分野への投資をストップさせ、そのお金を持ってくる必要があります。投資の優先順位をつけるための意思決定は簡単ではありません。

 開発を中止するエンジンやプラットフォームは何にするのか? どの分野の技術開発をやめるのか? ある分野に投資する予定だったお金を取り上げて、代わりにEVに投資しようとすると、関係者の合意を取り付けるのは非常に困難です。

 長年にわたってある技術について研究してきた技術者に、「明日からこの技術をやめてくれ」と伝える場面を想像してください。彼らは烈火のごとく怒るでしょう。「ちょっと待ってくれ、いったいどういうことなんだ」と反発するのは当然です。それは多くのリスクをおかす決断になるでしょう。

オンラインインタビューに応じるゴーン氏
オンラインインタビューに応じるゴーン氏

 今の日産の経営陣がそのような厳しい決断を簡単に実行できるとは思いません。私は日産の将来について楽観的ではありません。私がトップだった頃の日産と、今の日産はまったく別の会社になっていると思います。

 ですから「何かを選ぶなら、何かを捨てる」という決断をすることがとても重要です。それこそが最も難しい意思決定と言えるでしょう。特定の分野に大規模な投資をすると宣言したら、(投資してもらえなくなる分野の)誰もが激怒するものです。

 では、どこから投資に必要なお金を確保してくるのか? とりわけ日産の業績は苦戦しているので、2兆円を投資したいなら、どこかからお金を持ってこなければなりません。だから、何かへの投資をやめなければならないのです。

次ページ 異なるメーカーが一緒に働くことで生まれるパワー