3社連合が手にした「ライオン」のような強力な武器

 今、3社連合はとても残念な状況にあります。さまざまな指標を見ると、アライアンスの競争力はとても弱い。明確なビジョンはなく、まさにダメダメな状態です。私は3社連合に「ライオン」のような強力な武器を与えていました。それがEVです。そもそも日産はマスマーケットに向けてEVの量産車を最初に投入したメーカーの1つでした。

 しかし3社連合は自動車産業において現在どのような立ち位置にいますか? すでに世界のさまざまな自動車メーカーが完全にEVへとシフトする方針を決定しました。ドイツのダイムラーは、「メルセデス・ベンツ」ブランドで主力のSクラスにEVの「EQS」を投入するだけでなく、2025年以降の新型車はエンジン車をやめ、すべてEVにすると宣言しています。

 つまりあらゆるクルマがEVにシフトする世界が近づいています。米テスラはEVのシェアがトップで、株式時価総額は(21年10月末に)1兆ドル(約113兆円)を突破しました。日産やルノーや三菱自動車は、どこかに隠れているのでしょうか? わずか数年前に3社連合はEVで自動車業界の先頭を走っていたはずです。

確かに自動車産業のEVシフトは注目を集めています。日産も「アリア」というSUV(多目的スポーツ車)を発売するなどEVを強化しています。現状をどう見ていますか。

ゴーン氏:繰り返しになりますが、日産は危機に瀕していた1999年の状態に戻りつつあります。つまり二流の自動車メーカーになるということです。二流の自動車メーカーは、トヨタ自動車の戦略やクルマをまねしがちです。自分たちがライバルより先に意思決定することを恐れて、ついトヨタのまねをしてしまうのです。

 日産の縮み志向を象徴するのは、欧州事業です(編集部注:日産は欧州でスペインの工場を閉鎖し、自前の販売網も縮小する方針を打ち出している)。米国でもリストラを実施しました。あちこちで立ち止まり、グローバル戦略を見直して、99年以前の日産にまた戻ってきました。それだけのことです。今後数年間、そのようになっていく日産の姿を見続けることになるでしょう。

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