2018年11月に逮捕され、役員報酬の過少記載などの罪を問われる中、19年12月に海外に逃亡した日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が日経ビジネスの単独インタビューに応じた。レバノンで逃亡生活を送る一方、21年12月に日本で「世界で勝てない日本企業 壊れた同盟」を出版した。ゴーン元会長は、今、日産や自動車産業をどう見ているのか。1回目の「ゴーンが激白『日本に攻撃され、フランスに捨てられた』」に続き、今回は、ルノー・日産自動車・三菱自動車連合の現状と自動車産業のEVシフトをどう見ているのかについて話を聞いた。

(聞き手は山崎良兵=日経ビジネス電子版編集長、大西綾)

18年までルノー・日産・三菱自動車連合を束ねる立場にいました。最近の3社アライアンスの状況をどう見てますか。

カルロス・ゴーン氏(以下、ゴーン氏):あなたは3社のアライアンスが本当に継続していると思いますか? そもそも現在、アライアンスは存在していると言えるのでしょうか? 答えはノーでしょう。3社連合には非常に多くの問題があり、彼らはもはや一緒に協力して仕事をしていないように見えます。

 もはやアライアンスはコメディーのようなものです。2019年に当時の日産社長だった西川廣人氏とルノー会長のジャンドミニク・スナ―ル氏らが握手を交わし、これからはアライアンスのすべての意思決定を“合意”によって進めていくと発表しました(編集注:ルノー、日産、三菱自動車で「アライアンス オペレーティング ボード」を設置し、同ボードをアライアンスのオペレーションおよびガバナンスを監督する唯一の機関にすると発表した)。しかし実態はどうでしょうか。

オンラインインタビューに答えるカルロス・ゴーン氏
オンラインインタビューに答えるカルロス・ゴーン氏

 もしあらゆる意思決定をする際に合意が必要になるなら、1999年以降、日産・ルノー連合は存在できなかったでしょう。なぜなら「相乗効果があるので新しいことをやろう」と言っても、同意しない人が常に存在するからです。自分の芝生を守りたい人がいるのは世の常で、誰もが自分のアイデアを守りたいと思うものです。

 ですから誰かが意思決定することがとても大事です。リーダーが「ノー、ノー、申し訳ないがあなたは間違っている」「彼は正しい」「今回はあなたが正しく、彼は間違っている」といったやりとりをして、物事を決めていかなければなりません。強いリーダーシップなしに、アライアンスは存在しえません。

次ページ 3社連合が手にした「ライオン」のような強力な武器