「入り口主義」のバカバカしさ

柳沢氏:そこには、「入り口主義」か「出口主義」か、という問題があると思います。小林さんが言ったような、入り口で1点刻みの試験をやって、それで全て決めようというのは、日本の社会が非常に好むやり方なんです。

 なぜ好むかというと、入り口主義なら判断する権限を持っている側に痛みがないからです。受験生は番号で管理され、1点刻みの試験で定員に合わせてある点数以下の人を機械的に不合格にする。受験生の顔が見えないから、落とす側は痛みを感じません。一方、大学で卒業論文を書かせて、この論文では駄目だから留年しなさい、と言うのは、その権限を行使している人が相手の顔を見なければならず、痛みを伴います。

 大学入試改革の議論の発端では、1点刻みの試験はみんなバカバカしいと思っていました。だから、少し緩めに入り口を開いて、入学後にきちんと勉強した学生だけが卒業できるようにしようというのが、本来の趣旨だったはずです。ところが話が具体的になっていくにつれて、各論の部分でどんどんつぶされているというのが現状だと思います。

<span class="fontBold">柳沢幸雄[やなぎさわ・ゆきお]氏(開成中学校・高等学校 校長)</span><br> 1947年生まれ。開成中学校・高等学校出身。71年、東京大学工学部化学工学科を卒業、日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。その後、東京大学大学院で環境汚染の研究に従事。81年、東大大学院工学系研究科化学工学専攻博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授・併任教授、東大大学院教授を経て2011年から現職。東大名誉教授。工学博士。
柳沢幸雄[やなぎさわ・ゆきお]氏(開成中学校・高等学校 校長)
1947年生まれ。開成中学校・高等学校出身。71年、東京大学工学部化学工学科を卒業、日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。その後、東京大学大学院で環境汚染の研究に従事。81年、東大大学院工学系研究科化学工学専攻博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授・併任教授、東大大学院教授を経て2011年から現職。東大名誉教授。工学博士。

小林氏:なぜ、ここまで抵抗が大きいのでしょう。

柳沢氏:それは、外国語の4技能や記述式を導入したくない人たちが実は多いからではないでしょうか。

小林氏:どういうことですか?

<span class="fontBold">小林りん氏(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン 代表理事)</span><br> モルガンスタンレー、ラクーン、国際協力銀行(JBIC)、国連児童基金 (UNICEF)などを経て、学校設立をライフワークとすることを決意。2007年から準備を始め2014年にインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(現UWC ISAK Japan)を開校。1998年東京大学経済学部卒、2005年スタンフォード大学国際教育政策学修士。世界経済フォーラムから2012年度に「ヤング・グローバル・リーダーズ」として選出される。2016年に財界が選ぶ「経営者賞」受賞。イエール・ワールド・フェロー2017。
小林りん氏(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン 代表理事)
モルガンスタンレー、ラクーン、国際協力銀行(JBIC)、国連児童基金 (UNICEF)などを経て、学校設立をライフワークとすることを決意。2007年から準備を始め2014年にインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(現UWC ISAK Japan)を開校。1998年東京大学経済学部卒、2005年スタンフォード大学国際教育政策学修士。世界経済フォーラムから2012年度に「ヤング・グローバル・リーダーズ」として選出される。2016年に財界が選ぶ「経営者賞」受賞。イエール・ワールド・フェロー2017。

柳沢氏:まず、個人的な意見としては、民間試験を活用した英語の4技能は、今後も導入を進めるべきだと思います。実は、東大の大学院の入試でTOEFLを初めて採用したのは、私が所属していた新領域創成科学研究科だったんです。

小林氏:そうだったんですか。

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