本田:はい、まず、できもしない約束はしない。復旧率が90%以上なんていうのはあり得ない数字です。行っても70~80%がやっと、80%なんて行かないでしょうね。そういう中で「うちは9割以上復旧に成功している」と、うそを言ってお客さんを呼び込むというようなことはしませんという約束。ここは一番大事な点だと思います。そこをきちんとしないと、データ復旧業界というのはうさんくさい、という話になりかねない。

 次に、お客様から明確な承諾をいただかない限り復旧作業には手を付けない。「すでに作業を始めたので、そこまでの料金はもらいます」という事例もたくさんありますので。それから、申し上げたように失敗しても多額の調査費を請求する、という手口が後を絶ちませんので、要するに完全成功報酬にしようと。復旧できて初めてお金を取りますよということを我々のメンバーは約束し、それがこの業界の当たり前になるようにしていきたいな、と思っているんですね。

 もちろん、「できないことはできない」と言うだけではダメですので、お客様から信頼されるためにも、まず技術レベルを向上する。それから社会の役に立つと思われることは積極的に取り入れて共有する。例えば、児童ポルノのデータは復旧しません、と取り決めています。

なるほど。修復を行う会社は今いくつくらいあるんでしたっけ。

本田:難しいご質問ですが、ざっと100社と言われています。実態は同じ会社、というものを消し込んでいくと、だいたい30社ではないでしょうか。

じゃあ、そのうちの12社は皆さんと志をともにやっていると。

本田:そうですね。でも、検索して引っかかるのは、やはり「9割以上の成功率」「大手企業のデータ復旧の実績」などをウェブで強くアピールするところなんです。それでひどい目にあったお客さんがいても、データ復旧はたいてい1回限りの話なので、悪い評価が定着しにくいんです。

大手メディアを使うのも上手

自分自身を振り返ってもその通りだなと思います。データ復旧はリピーターが少ないから「食べログ」的な評価も積み重なりにくいし、もし悪評が高まったのなら、会社の看板を掛け替えてしまうということも容易にできると。

本田:そうですね。社名を変えた同じ企業に2度被害に遭った方も実際にいます。そしてネットでの宣伝に乗って一度コンタクトしてしまうと、なかなか振り切るのは難しい。

その通りです。

本田:ですので、なんとかその前に、彼らの手口を知ってほしいのです。

前回の取材時に業界の方に、「あそこはまずいですよ」ということを何らかの形で告知できないんですかとうかがったら、「いや、向こうはウェブの検索結果こそが生命線だから、悪評とともに社名が出るようなことに対しての法的な防衛策とか、あるいはネットの上での世評のコントロールにものすごい金と人手をかけている。うかつに踏み込めない」と言われました。

本田:そうです。そこは変わってないです。変わっていないし、もっと巧妙になっていますね。悪い話が出ればコメントを付けたり、クレームを入れたり。掲示板にも積極的に介入しているようです。我々も一生懸命やっているんだけど、逆手に取られてしまうことも多いです。そして、メディアを使うのもうまい。

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