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 また、現在のキムリアは、CD19というたんぱく質が表面にあるがん細胞をたたくものですが、CD22やCD123といったたんぱく質が表面にあるがん細胞をたたくものも検討しています。

他社もキムリアと同じキメラ抗原受容体(CAR)T細胞という細胞医薬の開発を手掛けており、競争が激しくなっています。その中でノバルティスの強みは?

 確かに競争は激しいです。ただ、それだけCAR-T細胞療法には魅力があるということでもあります。ノバルティスはこの革新的な治療法を初めて実現し、日本にも持ち込みました。パイオニアとしての経験や知識があります。CAR-T細胞療法は非常に多くの病気に対して有効であると考えられています。様々な疾患に対して並行して開発を進められる企業は他にはないでしょう。

キムリアは価格の高さが注目されました。現場の反響はどのようなものでしたか?

 医師からは、この薬の価値を認めてもらい、患者に提供できてうれしいと言ってもらっています。医師と話をするときに、価格の高さが話題になることはあまりありません。それよりも、どうやって患者に治療を提供していくかという議論が大半です。発売したことで、この薬の価値を知ってもらうことができたと感じています。

キムリアの適応を拡大していくと、医療費高騰の要因になるとの声も出てきそうです。

 我々の最優先事項は患者にキムリアを提供することです。患者を中心に考え、この薬を提供することが患者の命を救う可能性があるのであれば、我々は日本政府とも協力しながら、どうやったら患者が治療を受けられるようにするかを話し合っていきたい。

日本は国民皆保険なので医療費高騰により財政が破綻することへの警戒が強いと思います。

 医療費高騰の問題は日本に限ったことではありません。どの国でも直面している問題だと思います。医療にかけられる予算には限界がある中で、どうやって(高額医薬品の)治療を受けられるようにするかは、世界に共通する課題です。国民皆保険制度を採用している国は日本以外にもあります。政府や様々な立場の人たちと協力し合って課題を乗り越えていく必要があります。

■変更履歴
本文中、「CD20」は「CD22」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2019/11/28 15:00]