ソフトバンクグループ傘下の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」がついに日本に上陸した。ベンチャーキャピタル(VC)や起業家が注目する出資第1号は製薬スタートアップのアキュリスファーマ(神奈川県藤沢市)。大手製薬の日本企業トップを務めた経験を生かしてスタートアップに挑戦する綱場一成社長はどんな戦略を描くのか。

綱場一成[つなば・かずなり] アキュリスファーマ社長。東京大学経済学部卒、米デューク大学大学院で経営学修士号を取得。米イーライリリーで香港法人社長、米国本社グローバルマーケティングリーダー、オーストラリア・ニュージーランド法人社長。2017年から20年までノバルティスファーマ社長。20年には日本で7つの新製品の発売を主導した。
綱場一成[つなば・かずなり] アキュリスファーマ社長。東京大学経済学部卒、米デューク大学大学院で経営学修士号を取得。米イーライリリーで香港法人社長、米国本社グローバルマーケティングリーダー、オーストラリア・ニュージーランド法人社長。2017年から20年までノバルティスファーマ社長。20年には日本で7つの新製品の発売を主導した。

ビジネスモデルを教えてください。

綱場一成・アキュリスファーマ社長(以下、綱場氏):当初の数年間は、既に海外にある医薬品を国内に導入するという「タイムマシンストラテジー」でマネタイズをします。まずは睡眠障害分野です。

 ただ、我々が目指しているのは、社会的課題の解決で、そのためのツールは医薬品かもしれないし、違うモノかもしれません。治療アプリかもしれないし、AIを使ったものかもしれません。こうしたツールを開発していきたい。既存の医薬品メーカーと違うのは、医薬品という限られたパイを奪い合うのではなく、新しい市場を取りに行くところだと考えています。

 例えば睡眠障害による経済損失は15兆円と言われていますが、それを10兆円に抑えるためのビジネスモデル・サービスを作っていきたいのです。様々なデータを集めることができれば、医療機器メーカーも関わりたいかもしれません。開発環境をプラットフォーム化して神経・精神疾患領域でリーディングカンパニーになれれば、治療率や診断率もあがり医薬品の使用も増えて収益につながる可能性も出てきます。睡眠障害であれば、交通事故にかかわるデータですので、保険会社と提携することもできるかもしれません。

 必要なら、タイムマシンストラテジーに固執せず、自社創薬や早期開発段階にある新薬の開発に関わることも考えます。海外のバイオテック企業と協力して創薬プラットフォームを導入できないか検討しています。

VCの支援を受けて起業に至った背景はなんでしょうか。

綱場氏:私は、2020年10月末までノバルティスファーマ日本法人の社長をしていました。ここ数年で、細胞療法など革新的な医薬品を世に送り出しました。日本で新薬の承認件数が一番多いのもノバルティスです。ものすごくやりがいのあることでしたが、日本の多くの国民が抱える問題に取り組みたいと思うようになりました。

 私を含め、人についてはベストインクラスの医薬品チームを作れる自負があります。モノについても、例えば医薬品事業本部長(富永重人氏)は中枢神経領域で仕事をしてきましたし、研究開発本部長(塚原喜久男氏)も、中枢神経領域で30年開発に携わってきました。米国に事業開発の責任者もいます(ジム・トラー氏)。目利きの力があります。

 日本での社会課題さえつかめば、医薬品の面から解決策を提示できる自信があります。ただ、お金については、専門家ではありません。VCあるいは銀行の力を借りるしかなく、そこで出会ったのがVCのキャタリスパシフィック(神奈川県藤沢市)でした。優れたVCとタッグを組むことは非常に重要だと考えています。

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