米建機大手キャタピラーの副社長でGlobal Construction & Infrastructure(GCI)事業を統括するジェイソン・コンクリン氏がこのほど来日、インタビューに応じた。顧客が抱える課題をデジタル技術を駆使しながら解決するというキャタピラー。その先に見えてくるのは、「素人が建機を操る時代」の到来だ。
<span class="fontBold">ジェイソン・コンクリン(米キャタピラー副社長)</span><br /> 1999年にマーケティング研修生として米キャタピラーに入社。2019年1月からキャタピラーの副社長として、Global Construction &amp; Infrastructure(GCI)における世界的な販売、サービス、マーケティングを担当。現職の前は、北米の営業チーム、企業担当、製品マーケティング、さらに官公庁ビジネスを担当するGCIの北米販売およびサービスマネジャーだった。イリノイ大学出身。
ジェイソン・コンクリン(米キャタピラー副社長)
1999年にマーケティング研修生として米キャタピラーに入社。2019年1月からキャタピラーの副社長として、Global Construction & Infrastructure(GCI)における世界的な販売、サービス、マーケティングを担当。現職の前は、北米の営業チーム、企業担当、製品マーケティング、さらに官公庁ビジネスを担当するGCIの北米販売およびサービスマネジャーだった。イリノイ大学出身。

キャタピラーは、2012年から16年までの4年間で売上高が4割も減るという厳しい経験をしました。それが18年には売上高営業利益率が16%という急回復ぶり。あなたが統括する事業部、GCIではどんな貢献をしたのでしょう。

ジェイソン・コンクリン・米キャタピラー副社長(以下、コンクリン氏):GCIは、キャタピラーの中で建設機械インフラの事業になります。私はその中でセールスマーケティングを担当しています。ご指摘のように、キャタピラーは業績を素晴らしく挽回しました。マーケットが厳しいときでも研究開発に投資を続けて製品とソリューションを準備し、能力を高めることによって、マーケットが回復したときに対応できるようにしたからです。

ただ、19年第3四半期(7~9月期)の業績は売上高が前年同期比6%減、1株当たり利益も同8%減となりました。建機の世界市場は厳しい局面を迎えているのでしょうか。

コンクリン氏:1~9月を見ると、建機事業は4%、前年同期よりも売上高が増えています。キャタピラー全体では7~9月期は減収となりましたが、その理由はディーラーが在庫を適正化したからです。

 一方で、工場ではターンアラウンド(1台の建機を完成させるためにかかる時間)を改善しました。需要が上がったり、下がったりしても対応できるようにするためです。

通年の1株当たり利益は、従来見通しは12.06~13.06ドルの範囲の下限値を想定していましたが、10.90~11.40ドルの範囲に引き下げましたね。

コンクリン氏:セールスのボリュームは上がり、ファンダメンタルズは強い。しかし、不確かな要素もある。20年は(需要が)上向きになっても、下振れになっても対応できるようにしています。

 具体的には、デジタルとテクノロジーの両面を強化しています。デジタルについては、データ収集・分析によって顧客の建機を診断して、顧客にソリューションを提供しています。

 テクノロジーについては、2D(2次元)のICT建機や3D(3次元)のICT建機の両方を強化して、顧客がどちらも選択できるようにラインアップを増やしました。

 建機ではオペレーターの操作を正確かつ迅速に行えるように工夫しています。オペレーターが建機を遠隔操作できる機能も開発するなど、安全かつ快適で効率的に建機を動かせるようにしています。こうした取り組みは、建機自動化の将来に関わってきます。

 現在、キャタピラー製大型無人トラック240台が完全自律で稼働している。毎日地球を2周も回るという走行距離になる。何km走ったかというデータがとても価値がある。

何km走ったかというデータがとても価値があるというのは、どういう意味ですか?

コンクリン氏:キャタピラーでは、大型無人トラックをすべてモニタリングしているので、何トン運んだのか、何km走行したのかというデータを蓄積できます。こうしたデータを分析して、現在のオペレーションのチューニングや今後の製品・ソリューションの開発に生かすことができます。その意味でデータはとても価値がある。だから収集するデータは多い方がいいと考えています。

 景気が良くないときにも研究開発投資を続けることが成功の秘訣だと考えています。顧客は差異化された製品を求めています。生産性を高めるだけでなく、安全性の高いものを必要としています。そのために、操作がシンプルで、耐久性がよく、燃費がいい製品を提供しなければなりません。

コンクリン副社長のコミットメントは何でしょうか。

コンクリン氏:私のミッションは、サービスビジネスの拡大です。16年に140億ドルのサービスビジネスを10年間で2倍の280億ドルに引き上げたいと考えています。顧客が事業で成功すれば、私の目標達成になる。

ディープラーニング(深層学習)などAI(人工知能)の活用によって建機を効率化できると聞いています。

コンクリン氏:最近、キャタピラー内にデジタル事業部を作りました。AIの活用による分析能力を持った人材を投入し、遠隔で建機を操作する技術などを開発しています。トラブルシューティングなども遠隔で行えるようにしています。

 キャタピラーは20年以上にわたってコネクテッドアセットを蓄積しており、その数は業界でトップを誇っています。18年末現在、世界中で約400万台の建機が稼働していますが、そのうち約85万台がネットワークに接続されており、その数は日々増えています。データ分析によって顧客に効率的な建機の稼働が実現できるようにアドバイスしています。

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