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 米民泊仲介大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は国際オリンピック委員会(IOC)と2028年までの五輪スポンサー契約を締結した。創業わずか11年の企業が1業種1社しか認められないIOCのトップスポンサーになった例はない。五輪スポンサーに名乗りを上げた理由と東京五輪・パラリンピックに向けた日本市場の開拓について、Airbnb Japanの代表取締役、田邉泰之氏に話を聞いた。

米民泊仲介大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は国際オリンピック委員会(IOC)と2028年までの五輪スポンサー契約を結びました。なぜ五輪の公式スポンサーに手を挙げたのでしょうか。

田邉泰之・Airbnb Japan代表取締役(以下、田邉氏):IOCは100年以上、スポーツを通して人と人をつなぐという活動を続けています。一方、エアビーアンドビーは旅を通して人と人をつなぐことを目指しています。また、IOCはダイバーシティー(多様性)やサステナビリティー(持続可能性)をビジョンに掲げており、当社と向いている方向が同じ。IOCとのパートナーシップの話が持ち上がった時に、「これはやるべきだよね」と。CEOのブライアン・チェスキーはほぼ即決で話を前に進めるように指示しました。

田邉泰之・Airbnb Japan代表取締役(写真:吉成 大輔、以下同)

今回のスポンサー契約ではアスリートのセカンドキャリア支援の枠組みも打ち出しました。五輪選手が自分たちの特技を生かして収入源を確保する体験サービスです。これもパートナーシップの一環でしょうか。

田邉氏:そうです。IOCは既に「Athlete 365」という五輪アスリートを支援する取り組みを始めています。この部分がエアビーアンドビーの持つ「体験」というプログラムにマッチすると考えています。来年夏までに新たなカテゴリーとして立ち上げる予定です。

実際に、五輪選手による体験サービスの需要はありますか。

田邉氏:かなりあると思います。既に、あるフェンシングの選手が2時間85ドルでフェンシング体験を提供していますし、スノーボード選手によるスノボ体験も人気を集めています。

 新しく何かを始めようとする時に、知識を得たり、興味を維持したりするのは意外に大変です。でも、情熱を持っている専門家に教えてもらうと、一気に沸点に達するんですよ。先日、盆栽の体験プログラムに参加しました。私自身、盆栽には関心がありませんでしたが、教えていただいた方の熱量もあって、盆栽の魅力に引き込まれました。書籍を読んで学ぶのもいいですが、専門家に直に教えてもらう方が学びは早いと思います。

 実際の競技技術だけでなく、アスリートの様々な経験についてもニーズは高いと思います。例えば、レスリングの吉田沙保里さんに勝ち続けるメンタルや体調管理のための食事について話を聞くだけでもすごく面白そうじゃありませんか? ビジネスパーソンが成功するための心構えといったアドバイスがもらえるかもしれない。

 もちろん、体験だけでなく宿泊でもアスリートに貢献できるでしょう。遠征などで世界中を回るトップアスリートにとって遠征先の環境は極めて重要です。その時に、キッチン付き一軒家のような物件であれば、母親やサポートチームなどが皆で滞在することができるでしょう。実際に、異国でもホームのような環境をつくろうと、遠征でエアビーアンドビーを活用しているアスリートはたくさんいます。