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高齢者の重症化リスクが高いとされる新型コロナウイルス。高齢者の介護に当たるスタッフの負担も増している。感染拡大以降、高齢者施設を運営する事業者はどのように立ち向かってきたのか。有料老人ホームを中心に首都圏・近畿圏で約60施設、4000室を運営するチャーム・ケア・コーポレーションの下村隆彦社長に聞いた。

新型コロナウイルスの感染拡大以降、施設ではどのような対応をしてきたのでしょうか。

下村隆彦チャーム・ケア・コーポレーション社長(以下、下村氏):緊急事態宣言の発令後、私を本部長とする対策本部を立ち上げた。万が一、入居者やスタッフの感染が判明した場合、濃厚接触者の検査や待機なども含めてスタッフの不足が予測される。すべての施設について、感染者が見つかったら誰が応援に向かうのかを決めたリストをあらかじめ作っておいた。

下村隆彦(しもむら・たかひこ)氏
チャーム・ケア・コーポレーション社長 1943年生まれ、高知県出身。66年大阪工業大学工学部建築学科卒業。建設会社勤務を経て、祖父が創業した下村建設に69年入社。73年に同社社長就任。2004年にチャーム・ケア・コーポレーションを設立し、社長に就任。

 またホームからは、スタッフやスタッフの家族の中に発熱や風邪などの症状がないか、家族の通勤・通学先にコロナ感染者が発生していないかを毎日本社に報告させている。スタッフには、今でも飲み会の自粛を徹底してもらっている。

 入居者の方々にも協力をお願いし、3月27日からは原則として外出を中止した。入居者の家族の皆様にも原則として面談を控えていただき、オンラインでの面談を推奨している。外部からウイルスを持ち込まないような運営を強く意識してきた。

 それでも、残念ながら8月以降、我々の施設でも感染者が出てしまった。外部事業所の利用などを通じて感染したとみられている。

 大事なのは感染者が見つかったときにどう対応するかだ。保健所の指導の下、濃厚接触者や入居者のPCR検査の結果が出るまで面談を制限するなど、安全確認を繰り返している。

入居者との面談も制限しているのですね。入居者の快適さと安全性のバランスをどのようにとっていくのでしょうか。

下村氏:これまで自由にできていたご家族との面談や、散歩、買い物が一切できなくなってしまった。外部から講師を招いて開く演奏会などのレクリエーションも休止しており、職員だけで開催している状況だ。

 ストレスをためていらっしゃる入居者がいることを強く感じている。コミュニケーションが重要だ。これまで以上に時間をかけて、スタッフが傾聴するよう心掛けている。

 ご家族には、オンラインでの面談が意外に好評だった。ただ、どうしてもストレスを感じていて直接の対面を希望する方もいる。そうした場合にはエントランスで時間を区切って面談をしてもらう形にしている。