ファッション通販大手、ZOZOの2020年4~9月期連結決算は、営業利益が前年同期比50.2%増の199億円と半期として最高となった。商品取扱高が同16.3%増えた一方、恒常的な値引きプランの廃止などで販促費が減少した。

 創業者の前澤友作氏が会社を去り、Zホールディングスの傘下に入って約1年。話題を振りまいた創業社長の後を継ぎ、社長に就任した澤田宏太郎社長兼CEO(最高経営責任者)に、コロナ禍での販売動向やアパレル業界の見通し、創業者が去った後の会社経営の要諦などを聞いた。

<span class="fontBold">澤田宏太郎(さわだ・こうたろう)氏</span><br />1994年早稲田大学理工学部卒、NTTデータ入社。コンサルティング企業を経て2008年スタートトゥデイコンサルティング(現ZOZO)代表取締役。13年スタートトゥデイ(現ZOZO)取締役、19年9月から現職。49歳、神奈川県出身
澤田宏太郎(さわだ・こうたろう)氏
1994年早稲田大学理工学部卒、NTTデータ入社。コンサルティング企業を経て2008年スタートトゥデイコンサルティング(現ZOZO)代表取締役。13年スタートトゥデイ(現ZOZO)取締役、19年9月から現職。49歳、神奈川県出身

創業者の前澤友作氏が社長を退いて1年以上がたちました。話題を振りまいた創業者が去った後、求心力を持って経営していくのは、一般的なバトンタッチでの就任とは違う難しさがあるのではないですか。

澤田宏太郎ZOZO社長兼CEO(以下、澤田氏):確かに、創業社長がいなくなるのは、それなりに大きなインパクトです。今までは、「前澤」という軸が貫かれていて、それをみんながよりどころにしていた。

 その軸がなくなれば、新たに何かを据えなければいけない。でも今度は人じゃないだろうなと思いました。「澤田」という人じゃなくて、組織力を生かすために、何か違うものを据えるべきだと考えました。

それは何でしょうか。

澤田氏:役員で侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をして、2020年の年明けから、事業戦略の最上位のレベルとして「モアファッション×ファッションテック」という言葉を掲げました。とにかくこれをよりどころにして、迷ったらここに戻ってこようと。

前澤氏が抜けた穴は、その言葉で埋めて、会社をまとめるということですか。

澤田氏:1000人以上のファッション好きの人間がそろっている会社はほかにない。大きな強みです。技術力もここ3~4年ですごく上がってきました。ファッションに関する宝のようなデータが得られ、それを操る人も増えてきた。この2本を軸に据えれば、間違いありません。

事業戦略のほかに、社風のような抽象的なものはどうなのでしょうか。

澤田氏:失ってはいけないものとして、挑戦する意欲やファッション業界の先頭を走ってきた自負があります。これは前澤のDNAとしてとにかく残したい。そう考えたので、これも言葉で、「ソウゾウのナナメウエ」という標語を社内に発信しました。

 どちらも意外と社内では浸透しているんですよ。言葉には威力があります。前澤氏が会社にいたときは自然にやっていたことを言葉にして、なんとなく動いていたところを文章化しました。

「スピードが速すぎた」前澤時代

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