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 10月31日、横浜市の新港ふ頭に客船ターミナルと商業施設、ホテルからなる複合施設「横浜ハンマーヘッド」が開業した。CIQ(税関、出入国管理、検疫)の機能を持つ国際客船ターミナルと商業施設が一体化した国内初のケースだという。

 クルーズ船によるインバウンド(訪日外国人)のさらなる増加が見込まれる中、今年8月には横浜市の林文子市長がカジノを含む統合型リゾートを同市に誘致すると表明した。しかし、港湾事業者らが所属する団体や一部の市民はカジノ誘致に反対している。

 異国情緒あふれる港町として高いブランド力を持ち、多くの観光客を引き付けてきた横浜は今後、どこに向かうのか。商業施設運営の横浜岡田屋社長で、横浜ハンマーヘッドの開発・運営を手掛ける新港ふ頭客船ターミナル社長、横浜商工会議所副会頭も務める岡田伸浩氏に話を聞いた。

10月31日に「横浜ハンマーヘッド」が開業しました。商業施設と一体化した国際客船ターミナルは国内初とのことですが、どのような経緯でこのような施設ができたのでしょうか。

岡田伸浩氏(以下、岡田氏):普通こういった施設のほとんどがターミナル専用です。そのため、船が来ていない時は閉まってしまう。海外のクルーズ船の寄港地でも同様です。横浜ハンマーヘッドの場所は、以前は国有地でしたが、その後、市有地となりました。地目についても商業施設を建設できる状況になっていました。

 こうした背景もあり、横浜市は新港ふ頭の整備をするに当たって公民連携で旅客ターミナル施設をつくると決め、事業提案を公募しました。選考の結果、地元企業を中心に組織したコンソーシアムが施設の開発・運営をすることになりました。

岡田伸浩(おかだ・のぶひろ)氏
横浜岡田屋社長。1953年川崎市生まれ。75年慶応義塾大学商学部卒、伊勢丹入社。77年横浜岡田屋入社、78年専務、93年に社長に就任。横浜商工会議所副会頭も務める(写真:竹井 俊晴)

 ただ、普段は人が来ない場所ですから、商業施設として採算を取ることが簡単ではないことは分かっていました。みなとみらい駅からも少し距離がありますから、冬の雨の日などは客足が大きく減ってしまう可能性があります。一方で中心部からこれだけ近い客船ターミナルはなかなかありません。もちろん他の商業施設と似たようなものにすると、みなとみらい地区に来る観光客を取り合うことになってしまいます。

 このような条件の下、悩んだ末に横浜ハンマーヘッドは近隣に住む人が日常的に使えるような商業施設にすると決めました。みなとみらい地区やその周辺にはマンションが増え、新しい住民が増えています。このような方々が豊かさを感じられるような施設にしたいと考えています。

客船ターミナルと一体となった商業施設なので、インバウンドを狙うのではと思いましたが違うのですね。