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DX専門組織を立ち上げ

県の本庁内に「デジタルトランスフォーメーション推進本部」という専門組織を立ち上げました。どのような組織でしょうか。

湯崎氏:今の段階では、行政のDX、さらに「暮らしと仕事」といっていますが、産業や分野別のDX、そして、スマートシティーのような地域全体で進めていくDX。この3つの柱それぞれで、今できること、将来に向けて今やらなくてはならないことを議論している段階です。広島県ではちょうど来年度からから総合計画が改定期を迎え、2021年度から新しい計画に入ります。10年後を見越したDXのロードマップをどう盛り込んでいくかを議論していきます。

企業のデジタル化の場合、専門的な知見を持つ人材の不足が課題となっています。

湯崎氏:確かに現場にはデジタルがすぐわかる人とそうでない人がいて、一般論でいえば若い人の方がなじんでいます。ですからDX推進本部でも若手の意見を聞くように心がけています。ただ最後はやはりトップが理解しているかどうか。

 その点、うちは宇宙人3人をそろえています(笑)。DX推進本部の本部長には経済産業省から来た山田仁副知事に就いてもらいました。副本部長3人のうち、イノベーション推進部長には総務省でITをやっていてフィンテックなどにも通じている向井ちほみさんが、情報戦略総括監(CISO)には米系IT企業などでエンジニア、コンサルタントとして活躍した経験がある桑原義幸さんが就いています。

これも企業と同じかもしれませんが、実際に働く社員・従業員の理解がなければDXは進まないといわれます。

湯崎:この半年くらいで、DXへの理解を深めるための活動を一気に進めています。局長やその下のスタッフを対象にDXとは何かという講演や説明会を開いています。ヤフーCSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)で慶応義塾大学の安宅和人さんにビデオ会議で講義してもらったこともあります。

 将来の行政サービスがどのようなものになっていくのかを予想することは難しいのですが、すぐに実行できることもあります。行政プロセスのオンライン化、ペーパーレス化もそうですし、県庁で推進しているテレワークもそう。現在、全職員の端末を入れ替えている段階で、県庁内ではWi-Fi、外でも4Gを使ってどこでも同じ環境で仕事ができるような環境に変えていきます。

 よく「low-hanging fruit(低い位置にぶら下がっている果実)」といいますが、DXでもまず身近なところで体験することで見えてくることがあるはずです。例えば水道局では、少し前から技術資料や現場の情報をタブレットに入れて外に持ち出せるようにしました。そうすると、「IoTを使って水道管を保全しましょう」という発想が出てくるわけです。