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後払い決済サービスを手がけるPaidyは2020年10月、創業から6周年を迎えた。新生フィナンシャルで社長を務めていた杉江陸氏がPaidy創業者のラッセル・カマー氏(現在は会長)からバトンを受けたのが2017年11月。約3年、舵(かじ)取りを続けてきた。Paidyの今後の戦略、およびセキュリティー問題が多発するフィンテック業界について話を聞いた。

杉江 陸(すぎえ・りく)
Paidy代表取締役社長兼CEO
1971年生まれ。東京大学教養学部卒業後、富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。その後アクセンチュアを経て、2006年GEコンシューマー・ファイナンス入社。同社が新生銀行グループ傘下となり2009年に新生フィナンシャルへ社名変更。2012年に同社代表取締役社長兼CEOに就任した。2017年11月からPaidy代表取締役社長兼CEO(写真:的野弘路)

新型コロナの感染拡大は決済市場にどのような影響を与えたか。

杉江氏:我々のビジネスは順調に伸びているが、EC(電子商取引)全体は世の中でいわれるほど伸びていない。コロナ禍で拡大した市場もあれば、激減した市場もある。生活必需品は伸びたが、トラベルの領域は壊滅的状況となった。最近はようやくアパレルやコスメの領域が少し戻りつつある。

 新型コロナによって本来5年かかるであろう変化が1年で起きた。決済の領域にも当然変化が起きるだろう。代引きや、コンビニエンスストアで購入するプリペイドカードなどが典型例だ。オンライン決済にもかかわらず、オフラインでカードを購入するといった面倒な手間が発生する決済手段は消える。EC決済の6割をクレジットカードが押さえ、残り4割がそのほかの決済手段でまかなわれていたが、この4割の決済は間違いなくすべてデジタルにシフトする。

 ポストコロナの時代は時間が極めて重要になる。これまで会社員は朝出社して夕方まで会社にいることこそ価値だった。だが、これからは細切れの時間をどう有効に使うかという時代になる。時間に縛られるということが敬遠されるはずだ。こうした価値観は決済の領域にも必ず波及する。

新生フィナンシャル社長兼CEO(最高経営責任者)兼新生銀行常務執行役員の立場から3年前にベンチャーへと飛び込んだ。Paidyでの3年間はどうだったか。

杉江氏:オーナーの権限のレベルが違う。新生フィナンシャルの社長といっても、自分ができることはたかが知れている。いっぺんに何かを変えようとしてもなかなか動かない。一方、ベンチャーは自分の手で回していける楽しみがある。ただ、いかんせんリソースがない。小回りの利く小さな船に乗ってはいるものの、オールがないという状況だった。

 そのため、この3年間はとにかく採用に力を入れた。自分とは異なる才能や視点を持った人を中心に、世界で勝負できる人材をそろえたつもりだ。