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 各事業部門が独立採算制で事業を見るHOYA。部門トップの過半は外国人となり、年齢も性別も関係のない人事評価という。取締役会も社外が大半。そんなグローバル企業の統治体制で、日本人社員の意識はどう変わったのだろうか。鈴木洋代表執行役最高経営責任者(CEO)は「出世の階段に取締役の概念はもうない」と指摘する。

 日経ビジネス11月4日号の編集長インタビュー「日本の会社は変わらなきゃ」の全文公開シリーズの最終回。(第1回から読む。第2回を読む)

事業は基本的には独立採算的に見ていますよね。事業責任者にどこまで任せていますか。

 ほぼほぼ、ですね。勝手に上場しちゃったり、勝手に事業を売ってきちゃったりすると困りますが。基本的には年4回つくる予算以外の経営判断はほとんど、人事権もほとんど任せています。私、基本仕事をしたくない、という体制なので(笑)。

CEOのお仕事とは、ポートフォリオをチェックしたり……。

 資源の分配ですよね。こっちの事業にこんな額を分配して、こっちは少なめにしてという。後は事業部長さんの人事管理が仕事ですかね。

人事も部門間の異動というのもあまりない。

 基本的にはないですね。

人事制度そのものが各部門で違うんですか。

 人事制度も違いますし、ボーナスも全然違います。

企業向けのビジネスと消費者向けのビジネスを抱えていますからね。

 ボーナスが変わった瞬間に部門間の異動はできません。ボーナスが少ない部門から高い部門に異動するのは問題ないでしょうが、逆ができないから成り立たない。

 そういう意味では非効率なんです。人を動かせられないというのは。責任が明確だという意味では逃げ隠れできない。だから業績が悪くてボーナスが減ると、事業部長さんは下の人から突き上げを食らいますよ。

部門間で横ぐしを刺して新事業を生み出そうという企業さんも多いですが、すべて独立採算でやっているとやりにくいですね。

 本当に新たな事業をやるなら、完全に外でやった方がいいような気がします。社内で異動しようが何しようが、中は中ですから。稟議(りんぎ)をかけなきゃいけないとか、そういう人が出てくると、もうベンチャー的な発想にはなりません。

 新しいことをやりたい、という社員がいたら、会社もお金を出すけど、自分でも金を出せ、と言って、スピンアウトした方がいいと思います。

そういうことを実際にやっておられる。

 たまにありますね。

それでうまくいったんですか。

 ダメでした(笑)。

 でも、一獲千金で、うまくいったらごっそりもうかる、というものがないと無理ですよね。サラリーマンができる仕事ではない。

 サラリーマンでもそういう環境に身を置けば、あっという間にそういう発想になりますよ。環境が変われば、人は変わります。

変えてやればいいと。

 そうですね。フェアにものを考えればそうあるべきなので。でも、セーフティーネットはないよ、という状態にならないと新しいことはしにくいですよね。