日経ビジネスと独調査会社スタティスタ(Statista)は共同で、日本の成長企業を発掘する調査プロジェクト「日本急成長企業2022」を立ち上げた。調査に応募した企業の2017年から20年までの売上高成長率を基にランキングを作成する。

 主な応募条件は、①基準となる17年(度)の売上高が10万ドル(約1100万円以上)、かつ20年(度)の売上高が100万ドル以上②主たる成長要因がM&A(合併・買収)ではない――など。応募は無料で、11月末まで受け付ける。応募資料には専用サイト(https://www.statista.com/page/fastest-growing-companies-japan)からアクセスできる。

 スタティスタが英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)と20年に実施したアジア太平洋地域の成長企業調査では、年平均増収率が9%以上だった100社以上の日本企業が上位500社のランキングに入った。

 スタティスタのフリードリヒ・シュワント最高経営責任者(CEO)らに今回の調査の狙いなどを聞いた。

スタティスタのシュワントCEO
スタティスタのシュワントCEO

日本の急成長企業を調べる意義は何でしょうか。

フリードリヒ・シュワント(Friedrich Schwandt)CEO(以下、シュワント氏) これから日本経済を加速させる可能性を秘めた企業たちに注目したいと思っています。もちろん、有名な大企業も日本経済を支える重要な存在ですが、それらの企業がこれから売上高を毎年数十%単位で拡大させていくことは非常に難しく、不可能と言ってもいいでしょう。

 数十%単位で売上高を伸ばし続ける企業の多くは小規模です。素晴らしいアイデアと野心を持ち合わせたスタートアップなどが多いですね。このような企業は、前年度比で2倍といった増収率を達成することもあります。これらの急成長企業はきっと日本経済を加速させるブースターになるでしょう。

なぜ日本で調査することにしたのでしょうか。

シュワント氏 私たちの印象では、日本のビジネスはゆっくりですが、確実に変わろうとしています。新時代を切り開く企業が着実にのし上がってきているのです。これらの企業の中には、経済産業省から支援を受けるなどしてすでに知名度がある企業も一部含まれますが、多くは日の目を見ることなく自力で花を咲かせようとしています。私たちは、それらの企業に光を当てたいのです。

3月末、英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」、日本経済新聞の英文ニュース媒体「NIKKEI Asia」と共同で調査した「アジア太平洋地域の急成長企業2021」を発表しました。アジア太平洋地域13カ国、100万以上の企業を対象とし、16~19年の売上高の年平均成長率(CAGR)を基に500位までをランキングしたものです。結果を受けていかがでしたか?

トーマス・クラーク(Thomas Clark) シニアパートナー(以下、クラーク氏) 上位に入ったシンガポールのある企業は、調査期間中に毎年5倍以上の増収を繰り返し、結果として売上高は3年間で140倍になりました。これはもはや異常な数字ですね。しかし、さらに驚いたのは、(ランキングの中では一番下だった)500位の韓国の企業ですら年8%以上売上高を伸ばしていたことです。

FTとの調査で、日本企業の結果はいかがでしたか?

クラーク氏 思ったより良かったですよ。上位500位の企業のうち、5分の1以上が日本企業でした。調査対象のアジア太平洋地域13カ国は、ニュージーランド、オーストラリア、インドなども含みます。その中で日本は最大の経済大国であることを考慮すれば、当然の結果なのかもしれません。

 一方で、急成長企業が一定数あるにもかかわらず、日本経済に活発な印象はありません。私たちのランキングは、日本経済が想像以上に活発であることを示す一つの指標になったはずです。

(調査結果に基づくNIKKEI Asiaの記事はこちら https://asia.nikkei.com/Spotlight/The-Big-Story/Asia-s-hidden-high-growth-companies-reach-for-the-sky

世界の急成長企業に特徴はありますか?

 

クラーク氏 世界中で調査を実施していますが、IT(情報技術)企業が常に上位を占めていることに、もはや驚きはないですね。IT企業を除くと、ほかに急成長している特定の業界というものはありません。

 急成長している企業は、多岐にわたる業界に存在します。それらの企業をよく調査すると、デジタル化を進めている場合が多いです。商品やサービスをデジタル化しているというよりは、伝統的な経営を改善するために、デジタルツールを導入しているのです。急成長企業の最大の特徴は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいることだと思います。

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